今作は聖飢魔IIの最後の大教典「LIVING LEGEND(1999)」を紹介する。
聖飢魔IIのオリジナル作品としては12作目であり、1999年に解散を迎えた聖飢魔IIの最後の大教典である。
内容は聖飢魔II本来のヘヴィメタルをしつつ、ラップだったりプログレだったりと実験的な曲もあり最後の最後まで一筋縄ではいかないことを証明した教典。
そして前述したように本作をもって聖飢魔IIは1999年12月31日23時59分59秒に光の中へ消えていった。


収録曲
1.HEAVY METAL IS DEAD
2.SILENCE OR VIOLENCE?
3.GLORIA GLORIA
4.戦慄のドナドナ
5.20世紀狂詩曲(大教典編)
6.THE WORLD IS HELL
7.LOVE≒defence of your complex
8.死の協奏曲(コンチェルト)
9.FROM HERE TO ETERNITY
10.CENTURY OF THE RAISING ARMS
11.ROCK'N'RENAISSANCE
12.REVOLUTION HAS COME
13.GO AHEAD!


閣下作詞作曲のM1はいきなり耳を切り裂くようなリフから始まるヘヴィメタルナンバー。閣下のシャウトも堪能出来る。リフがとにかくカッコよすぎる名曲。
M2は参謀作詞作曲は冒頭のアルペジオから悲しげなギターが鳴り響く。全体的に物悲しい雰囲気が漂う中、それを排除するかのようなギターソロも良い。
M3は参謀作詞作曲で地を這いずり回るかのような重さと歌詞のジリジリと焼き付くような熱さが感じられる曲。初参戦の続・全席死刑ツアーにおいて演奏された時は衝撃を受けた。
何となくLed Zeppelinの「Kashmir」っぽさも感じるが構成員にもLed Zeppelin好きな御方が何悪魔かいらっしゃるので影響は受けているだろう。
M4は参謀作曲で殿下のドラム、特にバスドラムのドコドコ感がエグい曲。閣下の歌詞も風刺が効いていて面白い。あとは単純に突っ走るのでは無く、途中でスローになる捻った展開も聖飢魔IIらしくて良い。続・全席死刑ツアーでは閣下が手術を受ける演出をしながら歌っていたなぁ...
M5は参謀&閣下作詞、参謀作曲の楽曲。これは本作でもかなり実験的内容で、ラップとメタルを組み合わせる試みがなされている。歌詞も風刺をしている部分もあって参謀&閣下の面白さが溢れだしている。
M6は閣下作詞作曲で、スローテンポでおどろおどろしい曲。楽器隊の重さも恐怖をより引き立てている。途中でテンポアップして、哀愁漂うギターソロのところがカッコイイ。
M7は長官作曲のHR/HMナンバー。結構、ベースの低音が響いていてカッコイイ。色々な愛が登場するがそれがお前ら=我々のコンプレックスを守ることに近いといった内容だろうか。意外と深い歌詞である。
M8も長官作曲で、ピアノから始まる曲でBメロのバッキングがカッコイイ曲。時折響くピアノが何処か暗くて冷たい部屋で輪舞を踊るような恐怖がある。
M9も長官作曲で冒頭の美しいアルペジオから哀愁漂うギターと悲しげな閣下の歌声が響き渡る。
サビの盛り上がりが好きな曲。ギターソロが結構泣ける。
M10は本解散前では最後の長官作曲の楽曲で、疾走系に哀愁漂うメロディーを乗せた長官らしい楽曲では無いだろうか。イントロのドラムのフレーズもカッコイイし、キーボードも切なさを出して良い。ギターソロはこれまでの聖飢魔IIの歴史を振り返るかのような涙腺崩壊のギターソロである。吾輩が本作で一番好きな曲であるが、吾輩と同じ意見の信者の方々は結構いるだろう。ミサで一番聴きたい曲である。
M11は閣下&参謀作曲で、いきなり閣下の「ロッケンローーー!!!」というシャウトが炸裂する曲。
英語の歌詞ということもあり、海外のハードロックを聴いている感じがする。この曲はとにかくギターがカッコイイ。
M12は参謀作曲の超疾走系の曲。解散という悲しみを切り裂くような冒頭の閣下のシャウトとリフがめちゃくちゃカッコイイし、ギターソロなんか参謀が得意とする早弾きをこれでもかというぐらい炸裂してて聴いてて気持ちいい。
終盤にもメタルを持って来る辺りも、本作を名盤と呼ばせる要因だろう。
そして、本解散前最後の聖飢魔IIの曲M13は参謀作詞作曲でまさかのメタルではなく壮大なプログレナンバーで締めとなる。この曲は中盤の殿下のドラムソロ的な箇所がカッコイイ。
聖飢魔IIが信者に向けて発した「戦う勇気もまた お前の中にある」という言葉が聖飢魔IIが無くなった世の中でも我々信者が力強く生きるための励ましの言葉となっていると吾輩は考える。



今現在、聖飢魔IIのオリジナル作品としては最後の大教典であるが最後はヘヴィメタルに原点回帰した名盤である。もちろん、ラップやプログレ的な要素もあるが聖飢魔IIの円熟したヘヴィメタルが聴ける最初で最後の作品であると思ふ。
新規の信者にもおすすめできるが、やはり順を追って聴いた方が本作に込められた意味が分かると思ふので、最後に聴いた方がいいだろう。
今回で聖飢魔IIのオリジナル作品のレビューは一通り終わったが、紹介していない名曲がまだまだあるので次回からはそちらを紹介していく次第である。


お気に入り度(5段階)
★★★★★