遠くで自分の荒い息が聞こえる。右手が酷く痛いのはなんでだ?俺はなんで動けないんだ?
あやふやだった視界のピントが定まり記憶が戻る。
自分が何をしていたのか、否、しでかしてしまったのかに気付いた。
「まーちゃん!分かる?大丈夫!?」
「だ・・大丈夫だ」
「びっくりしたよ。こんなまーちゃん見たの久しぶりだなー」
俺の両手を握っている和志の腕には巻かれたばかりの真新しい包帯が。それと対比する紅く染まったシャツのコントラスト、怒りの元を思い出す。
自分を押さえつける力が増す。その時初めて西脇さん達に押さえつけられていることに気付いた。
「すいませんでした。今はしっかりしていますから」
驚きと警戒の色を浮かべた西脇さんと視線を合せしっかりした口調で返す。
「・・てめぇー、いきなり何しやがんだっ!!」
吹っ飛び倒れていた少年が鼻血を拭きながらも吼えた。
「なんだ案外丈夫なんだな?それとも俺の方が弱くなったのか?」
拳の痛み具合からはもっとボコボコになっていてもいいはずなんだが?床に転がっている椅子が答えをくれた。
「そうだよ、後半は椅子を相手にさせたんだぜ。でなきゃその子が死んじまうからな」
「本当にすごい勢いでしたよ、私達の止めるタイミングがはかれないほどでした」
本気か疑わしいほどのほほんとした口調で言われてもな・・・。
next→