つり銭をと叫ぶタクシーを後に、赤くランプの点滅する扉へ駆け込んだ。
救急窓口の側に立ち構えていた人物が俺に気付いた。その人物が会釈し、此方へと声をかけてくる。
「川瀬将隆さんですか?」
「もしかして先程の電話の・・・」
西脇さんは再び丁寧に自己紹介と身分証の提示をしてくれた。
正直、西脇さんが本物の警官などかはどうでもよかった。何より今知りたいのは、耳にした情報が正しいのかどうかの方だ。
「あの、和志は・・?」
話を遮り質問したことには嫌な顔せず優しく頷き、此方だと部屋へと先行してくれた。
扉横に警察官が立っている部屋が見える。
近づくごとに話し声が大きく響いてくる。合間に和志の声を確認できた。
「誰だってよかったんだよ!こんな俺にヤラレちまう間抜けな野郎が悪いんじゃねえかっ!?」
ホッと出来たのもつかの間、扉を開いた途端に俺の耳に入ってきた言葉にそちらを見た。
そこには椅子を蹴飛ばし叫ぶ少年と、血まみれの服を纏った和志の姿。
少年が手にしたパイプ椅子を和志へ振り上げた。
警察官が同席していたことも忘れ、その少年を俺は殴りつけていた!
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