仕事が珍しく定時に終わリ、会社を後にした俺は幼馴染がしているバーへと久しぶりに脚を運んだ。
趣味のいいあいつらしい落ち着いた雰囲気の内装を施した店内。
暗すぎない程度に落とした照明は、他人の視線が煩わしく感じずにすみ、ここ数日続いた残業で疲れている俺にはホッとできる唯一の場所だった。
「疲れたオヤジみたいだな?」
品の良いとは言えないがモデル並みに整った顔(ただし黙っていればだが)をニタリ顔にし、和志(かずゆき)がグラスを運んできた。
「30過ぎれば違いはないだろ?」
左手を少しだけ振った後、差し出されたグラスに口付けた。
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