約25年ぶりだ。
昔、金沢大学病院の教授を紹介されたことがある。
病院の近くで医学書専門の書店を経営している。
その場所で書店を開いてまもなくの頃だった。
まだ、当時のまま店内は医学書だらけだ。
それより、医学書だけで商売になるのか当時は不思議だった。
病院内の医師をこまめに回り、新刊の紹介をしたり、とにかく訪問のセールスが主体だろう。
医師は高価な専門書を大量に買うそうだから、それで商売になるのだろう。
いろんな話をした。
珍しい病名を言ってみた。すると、それは整形外科ですね、とすぐ答えられた。医学の知識もなかなかなものである。
また、店主の回りで最近亡くなる人が多いそうだ。
原因は大抵ガン。
亡くなるのは、意外にも医師が何人かいるという。
本人が気づいた時は手遅れというケースだ。
店主は「こういう商売はしているが、医者にはかかったことがない、かからないことにしている」という。
特にがん治療は受けないことにしているという。
とにかく苦しいだけだ、何もせず死ねれば一番よく、痛みだけ和らげてもらえばいい。
いろんな話をしたが、最期はお互いに頑張ろうと別れた。