元ヤクザの経済評論家、猫組長による本です。

 

元ヤクザなだけあって、このお方の評論は自信満々に断言するので分かりやすいです。

 

以下、長くなりますが主だった内容をまとめてみます。

 

1、世界経済はお金ではなく、信用である

  世界経済は金兌換性を廃止したニクソンショック以降、信用に基づいて取引されるようになりました。

  信用とは、「信じる」とか「信じない」ということなので、それはもう宗教と同じです。

  宗教と同じなので、そこにはエセ宗教(カルト)が発生します。

  カルト宗教の信者は教祖にお布施を続けることで養分にされます。これが信用不安となり世界経済を直撃するようになりました。

 

2、FIREブームはカルト宗教である

  FIREとは、Financial Independence Retire Earlyの略です。FIREを達成するために現代の人々は生活費をストイックに削り、将来の生活を安泰にするために、今現在の生活を貧しくしてしまっています。

  このFIREが流行することで今現在の日本のGDPが下がっています

  FIREを達成したと公言して本を出版し、セミナーを開いている人たちがいますが、この人たちはカルト宗教の教祖であります。

  本当は投資で儲けたのではなく、本を出版し、セミナーを開くことでカルト宗教の信者からお布施を集め、養分を吸い取っているのです。

  FIREFI(Financial Independence)とは、経済的自立を目的としているもので、これ自体は健全な投資目的と言えます。

  しかし、RE(Retire Early)という早期引退の言葉がつくことによって、仕事から逃れたいという逃避心理が加わっており、これは健全な目的とは言えません。

  現在FIREに向けて頑張っている「意識高い系」の人々は、現在をストイックに生きていて立派に見えますが、実際にはセミナーや本にお金を支出することでお金持ち教祖から搾取されているカルト宗教の信者です。

 

3、一見美談なゲームストップ株事件の実態

  ロビンフット社Redditというスマホアプリを立ち上げ、そこに普通では株式投資が行えない多くの若者が参加しました。

  金持ちヘッジファンドがゲームストップ株に空売りを仕掛けて儲けようとしたところ、Redditの投資家(普通は投資する資金を持たない若者)が一斉に攻撃を仕掛けてヘッジファンドに2兆円余りの損をさせたというのが、ゲームストップ事件です。

  格差社会のアメリカで1%の富裕層(ヘッジファンド)に対し、「We are 99%」を掲げる貧困層(Reddit参加者)が勝利したと話題になりました。ここまでが一般に伝えられた内容です。

  しかし、このゲームストップ株事件には裏がありました。

  ロビンフット社は、個人の株式売買情報をその売買が履行される前にヘッジファンドに販売していました。

  これはHFT(High Frequency Trading)超高頻度取引に利用され、ヘッジファンドは個人の株式取引が成立する前に割り込んで取引することで莫大な利益を上げていました。

  HFTは超高性能なコンピュータと超高速な回線を利用できる富裕層のみが利用できます。

  つまり、ロビンフット社はヘッジファンドに2兆円余りの損をさせた一方で、別のヘッジファンドに大儲けさせていたことになります。

  もちろん、ロビンフット社もこの取引で大儲けしていました。

  ロビンフット社は後にこの事実を隠していたとして追徴課税されています。

 

4、日本にもHFT(High Frequency Trading)超高頻度取引をしている会社があった

  数年前からSBI証券で取引を行う個人投資家が、

  「値段を指定して注文を出しているのに、その値段通りに注文が履行されないことが多い」

  と言われることが多くなりました。

  これはSBI証券が個人の売買に先回りして自社の子会社の注文を成立させるHFTを行なっていたためで、これが新聞報道によって明らかにされました。(この報道後にSBI証券は先回り注文を自主的に辞めているそうです。)

  HFT(High Frequency Trading)超高頻度取引は違法ではありませんが、倫理的に問題があります。金持ちだけが優先的に儲けられる仕組みになっているからです。

 

5、ビットコインの実態は「規制を回避するツール」

  通貨の条件には以下の3条件があります。

  ・価値の保存

  ・交換、決算手段

  ・価値の基準になる

  ビットコインは変動が激しく、決算手段としても極めて限られた場所でしか使えません。これでは通貨の条件を満たしているとは言えません。

  しかし、ビットコインは金融危機が発生するたびに値上がりしてきました。それは何故か?

  金融危機の時には預金封鎖の不安が広がります。これは自分のお金を銀行から引き出せない、ということです。

  すると、人々は自分のお金を国外に逃がそうとします。これを行うのには国際決済銀行(SWIFT)を利用する方法と、ビットコインを経由して外貨に替える方法があります。

  資金を移動する方法は資金洗浄(マネーロンダリング)にも使われます。つまり、犯罪で得たお金やテロの資金源を足のつかないお金に換金することです。

  国際決済銀行(SWIFT)はアメリカのワールドトレードセンター爆破テロ事件以降、本人確認の規制が強化され、資金洗浄には使えなくなりました。

  そこで使われるようになったのがビットコインです。これが理由でビットコインは値段を上げてきました。

  さらに、中国国内の富裕層が自国を信頼できず、自分の資金を国外に逃すのにも利用されるようになりました。これによりさらにビットコインは値段を上げます。

  最近はビットコインは国際社会や中国政府に目をつけられて規制する動きが広がっています。これによって値段が暴落しました。

  しかし、世界には銀行口座を作れない貧困層が大量に存在しています。その人たちはマフィアの手先になったり犯罪に手をそめ、法律の外側でお金の取引をしています。この人たちを守るためにも規制のある正規のデジタル通貨は必要です。

 

6、黒い経済の実態

  オバマ政権やバイデン政権になると、中東や中南米など世界各地で武力衝突が起こります。

  武力衝突が起こる地域は反米グループと新米グループとに分かれて争っていて、アメリカは密かに新米グループに武器を援助しています。

  表立って武器を直接援助すると世界から非難を受けてしまうため、アメリカは暗黒経済を利用します。

  暗黒経済世界各地の新米グループに武器を援助し、代わりに麻薬を入手します。このようにして武器取引量と麻薬取引量は連動して増減します。

  資金洗浄(マネーロンダリング)の語源は、アメリカマフィアのアル・カポネが初めて資金洗浄を行った場所コインランドリー(Coin Laundering)だったからで、少額の現金の中に犯罪で得た現金を紛らせることで資金をクリーンにする洗浄(Money Laundering)を行っていたことに由来します。

  ここ数年はコロナ禍でクリーンなお金の取引が停滞したため、資金洗浄を行うことができず、黒い経済のお金の流れもストップしています。

 

興味深い内容ばかりで非常に面白い本でした。

 

ウクライナ戦争が始まって数ヶ月が経ちましたが、アメリカは表立ってウクライナに武器を供与しています。

 

これも黒い経済が停滞したことで、アメリカが直接援助せざるを得なくなったということが原因かもしれません。

 

長くなったのでここまでにしますが、この他にも興味深い内容が続きますので、興味を持たれた方は読んでみることをお勧めします。