人間臭さを表現したら今の日本で右に出る者はいないと個人的には評価している白石和彌監督の最新テレビシリーズです。

 

その実力は映画「虎狼の血」でいかんなく発揮されましたが、この仮面ライダーBlack Sunでも発揮されました。

 

まず、第一話で、「これは子供向けの番組ではない!」と宣言します。

 

いや、子供に見せたらいけないでしょう。残酷描写が過ぎます。

 

この、見る人を選ぶことを意識的に行なって突き放す感じ、良い!

 

普通は誰が見ても面白い、大衆に迎合する作品を作ろうとするものですが、それをすると誰にでもそこそこ受け入れられるが、誰にもハマることのない、平均的な作品になってしまいます。

 

それでは熱狂的なファンは生まれません。

 

かつてのアップルのやり方と同じですね。自社の方針を突き通す感じ。

 

ストーリーはリアル路線で、政治とデモ、怪人と人種差別、戦時中の人体実験などがリアルに描かれます。

 

もう、シン・仮面ライダー庵野さんが描くことなくなっちゃうんじゃないかと心配になるほどです。

 

しかし、一方で、あえてなのか予算の都合なのかは分かりませんが、ぬいぐるみ感も残していて、とある怪人がスズメに変身して飛んで行ったりするのを見て思わず笑ってしまいたくなるほどのチャチイ感じがあったりします。

 

あと怪人の元になった動物の名前で呼ぶんですが、クジラさん、とか、ノミさん、とか、「もう人間の名前で呼んでやれよ。」と突っ込みたくなるほどの非リアルな感じもあります。

 

このリアルと非リアルとの混合がこの作品に独特の空気感を作り出しています。

 

他の仮面ライダーシリーズは個人的には見たこともなくて、見たいとも思ったことがなかったんですが、この作品ではさすがは白石和彌監督です。

 

一気に見させてくれる魅力溢れる作品になっていました。