中国共産党が只今現在行っているさまざまな工作活動について暴露する本です。
長くなってしまいましたが、ざっと概要と、読んだ感想をまとめました。
1、香港独立を叫んだだけで逮捕
詳しくは本書を読んでもらいたいのですが、中国共産党の虎の尾を踏むと、たとえ外国にいようが工作員たちによって迫害されるという事実が紹介されます。
これを読んでいて思ったのが、深田萌絵さんの事例そのものじゃん、ということです。
深田萌絵さんは日本にいる中国人工作員の正体を暴き、証拠も提示していますが、それがなぜか当の中国人から
「お前は私のことを中国人呼ばわりして、侮辱する気か!!」
と逆ギレされて告訴されるという、
「中国人と呼ばれたことが侮辱」
という皮肉な訴えを起こされました。(幸いにも起訴猶予されたそうです)
これなども中国共産党の虎の尾を踏んだから起こされた訴訟で、しかも日本にいながら訴えを起こされた事例です。
2、経済学的発想について
自由主義国家は、経済は操作できず、取引によって誰もが得をすると考えるそうですが、中国のような共産主義・全体主義国家は、経済を計画的に操作でき、取引によって得するものと損するものが出ると考えるそうです。
3、ウェストファリア条約とは
17世紀のカトリックとプロテスタントによる30年戦争で殺し合いに疲れたヨーロッパ諸国は、ウェストファリア条約を結びます。
その内容は、
主権国家は宣戦布告によって戦争を始め、第三国が主催する講和会議によって戦争を終える
とするものだったそうです。
ところが各国が同盟を結び、ある国が戦争を始めると第三国も自動的に戦争に巻き込まれるような体制になると、第二次世界大戦が勃発し、戦争が大規模になりすぎてもはやウェストファリア体制が意味をなさなくなってしまいます。
4、戦争が再定義される
第二次世界大戦が終わると、戦争が再定義されます。
宣戦布告の有無に関わらず、国境線を武力で変える、と再定義。
そして、ルールを破った国は世界から制裁を受ける。また、国連による制裁が決まるまで持ち堪えるため、主権国家は自衛権を持てる、とされました。
その後に起きた戦争(ベトナム戦争、朝鮮戦争、現代も続くシリア内戦など)は、この国際ルールを巧妙に破った戦いになります。
つまり、事実上は米国やソ連(ロシア)による代理戦争なんですが、実際に戦うのは第3国で行われるようになります。
5、再定義された戦争を悪用する中国
そしてそれに学び、さらに巧妙化させたのが中国です。
新しい兵器だけでなく、新しい技術、新しい思想、新しい心理学、科学、とにかくありとあらゆるものを戦争に利用する、超限戦(戦争の枠を超えた戦争)という独自の戦争を定義します。(超限戦という言葉は中国人民解放軍の大佐によって作られました。)
そして、相手が十分に弱体化したところで大規模な軍を投入します。
6、超限戦はすでに行われている
毎日新聞の「チャイナウォッチ」は中国チャイナ・デイリー社(中国政府)の広告ですが、一般の新聞記事に見せかけて作成されています。
それによれば、ウイグル自治区は観光地化されるという、虚偽の情報があたかも新聞記事のように掲載されました。
これは世論を動かし、心理戦を仕掛けるプロパガンダで、超限戦の実例です。
これだけではなく、ニューヨークタイムズやウォール・ストリートジャーナルなどにもフェイクニュースを掲載し、中国は世界中の新聞に同様の工作活動を展開していいます。
戦争の実態はすでに変わっているのに、日本の人たちの戦争観は相変わらず武力を使うものという固定観に縛られています。これは非常に危険です。
7、超限戦の実施プロセス
超限戦は次のプロセスで進みます。
1、武装解除を叫ぶ(戦争を辞めよう!平和が好き!)
2、内部対立を徹底的に煽る(格差!原発!夫婦別姓!政府への不信感、陰謀論)
国内で人々が対立し、分断して潰し合いをするようになり、結果として国力が衰えます。
3、軍事攻撃、クーデター等による転覆と不平等条約の締結
国内の人たちによりクーデターやテロが起き、それに乗じて他国が軍を投入し、占領します。
4、国土消失、占領統治
すでに1、2はすでに国内にいる中国の工作員たちによって行われています。
これを読んで、日本人が目覚めることを願うばかりです。
