塩野七生さんの「ローマ人の物語」が面白くて勉強になったので読んでみました。
全3巻の大著です。文庫本にすれば多分9巻か10巻ほどになるかもしれません。
いやー、面白かった!
個人的にはローマ人の物語より面白かったと思います。
何しろ戦争に次ぐ戦争。ポリス同士で争いが絶えません。
それなのに、ペルシアという外敵に攻撃されるとそれまで敵同士だったのが手を結び、一丸となってペルシア撃退に向かうという、なんだか日本の明治維新みたいな展開もあります。
「なんだか古代ギリシアって日本みたい」
と思う展開が多すぎです。だからより面白く感じたのかもしれません。
保守的に過ぎるスパルタ(江戸の侍みたい)と、商業(大阪みたい)や勉学(土佐藩みたい)に優れるアテネ。
アテネは民主制で、最盛期にはギリシア全土を統一するまでになりましたが、後に詭弁家の扇動によって優れた政治家を殺したり他国に追い出したりします。
そしてお金が足りなくなると安易に増税して経済活動を冷やします。
スパルタは保守的な王政で、映画「スリーハンドレッド」で活躍したレオニダスが命をかけてギリシアを守りますが、後にアテネの政治家はペルシアに金で買収されます。
詭弁家という活動家と、裏で金で買収された政治家によってどちらも衰退し、最終的にマケドニアという新興国によって滅ぼされてしまうのですが、両国を足して2で割ったのがまるで日本じゃないかと思わざるをえません。(詭弁家が誰で、ペルシアがどこの国かはあえて言いませんが。)
そしてアレクサンドロスの大活躍。男でも読んでて惚れてしまいそうです。
ギリシア人の物語が塩野七生さん最後の作品とおっしゃってるそうですが、こんなに面白い作品が作れるのに引退するのはなんとも惜しいです。
個人的には最後の作品にしてローマ人の物語を超える最高傑作といえる作品だと思いました。
