2014年のベスト経済書になったということで読んでみました。
大まかにあらすじを書くと、
1.グローバル化の歴史
グローバル化は次のように展開していったそうです。
・地理的グローバル化により植民地から収奪
・収奪の対象を発展途上国に拡大
・収奪の対象を実物以外の情報・金融などに拡大
・収奪の対象を時間的空間(未来世代からの借金)に拡大
この間、国家に資本主義が従属(国家>資本家)していたのが、グローバル化によって資本主義が国家を超えて力を持つようになり、国家が資本主義に従属(資本家>国家)するようになったそうです。つまり、資本家によって国の仕組みが作られるようになったそうです。
2.グローバル化の行き詰まり
グローバル化が行き着くところまでいってしまった結果として、グローバル資本家は次の収奪の対象を国外から国内の貧困層に向け始めたそうです。
資本家は国家のシステムを決められる立場にある(資本家>国家)為、貧困層を増やす施策が実行されます。例えば非正規雇用を増やす派遣法改正などがその代表です。
そして、貧困層から収奪するシステムの代表がサブプライムローンに代表される商品で、2008年のサブプライムローン問題でそれも行き詰まったそうです。
3.経済危機と資本主義の終焉
グローバル化が行き詰まったことで、金利がかつてないほどに低下し、世界経済はデフレに突入したそうです。
経済危機を救うために、一部の経済学者はケインズの時代に戻って大規模な財政出動をすれば良いと言うそうですが、過去に日本で200兆円あまりの大規模な財政出動が行われたがほとんど効果が無かったという結果が出ており、筆者はケインズ主義でもだめだろうと仰ってます。
歴史を眺めると、デフレに突入後は歴史的に大きくシステムが崩壊し、新たなシステムが誕生するそうです。
例えば16世紀まで続いた荘園制・封建制は、農業が地理的に広がり、技術が革新的に上がり、生産性が上がって供給量が十分になり、結果として農産物の価格が下がる(デフレ)ことで崩壊し、新たな土地(農地)を探すために国策として世界に出て行き、そのための資金を出すハプスブルク家等が王室とつながり、資本家と国家の一体化=資本主義・主権国家システムが誕生した。
16世紀の例から考えると、現在の資本主義が終焉するのは今から20年後かもう少し後頃になるそうで、じゃ、その次にどんなシステムになるのかは、この本では分からないとされています。しかし資本主義の終わり方については2種類提示されています。
4.ハードランディングとソフトランディング
事業清算型資本主義では、ある特定の事業が一気に広がり(バブル)、その後、急速に縮小(バブル崩壊)。その責任は資本家が負う(事業清算)というもので、これは昔のバブルとその崩壊の例です。
現在は、バブル清算型資本主義というものに変わっており、バブル発生後、資本家がその利益を受け、バブル崩壊後、その損失は国民が負う(国家の税金で救う、または財政出動で景気を良くする)というものです。バブル清算型資本主義が昔より頻繁に、より大規模に起きるそうです。
ハードランディングは、強欲資本家をこのまま放置しておけば起きるもので、中国のバブル崩壊で中国が保有するアメリカ国債が売却され、ドルが終焉するかもしれない。この場合、国家は戦争とインフレで解決しようとする。または国内で大規模な暴動が起きてマルクスの予言(革命)が起きるかもしれない。
ソフトランディングは資本主義の暴走に歯止めをかけるというもので、現在は資本家が国家の枠を超えて団結しているので、それに対抗して国家が世界的に団結して資本家に対抗しなければならない、としています。そしてそのためには資本家の暴走を止めるためにゼロ成長を実現する必要があるそうです。
以上、ざっと書きましたが、感想としてはグローバリズムの流れが歴史とともに分かりやすく説明してあって非常に参考になりました。
ただ、資本主義が終焉した後に何がくるのか分からない、としてあったのが若干物足りない感じがしたのと、資本主義の終わり方についてハードランディングとソフトランディングの2つが提示されていましたが、ソフトランディングはかなり難しいんじゃないかという感想を持ちました。
国際的に各国が協力して強欲資本家を止めるシステムを構築するというのはなかなか良いと思いましたが、ゼロ成長を目指すというのは、さすがに社会主義とか計画経済とかじゃないと不可能な政策だろうと思います。
それ以前に資本家は国家とすでにつながってるので、そんな政策が採用されるはずがないと思いました。
でも、ソフトランディングが難しければハードランディング(戦争・革命)となりますが、こっちはもっと嫌なので資本家が自重することを心から願うばかりでした。
大まかにあらすじを書くと、
1.グローバル化の歴史
グローバル化は次のように展開していったそうです。
・地理的グローバル化により植民地から収奪
・収奪の対象を発展途上国に拡大
・収奪の対象を実物以外の情報・金融などに拡大
・収奪の対象を時間的空間(未来世代からの借金)に拡大
この間、国家に資本主義が従属(国家>資本家)していたのが、グローバル化によって資本主義が国家を超えて力を持つようになり、国家が資本主義に従属(資本家>国家)するようになったそうです。つまり、資本家によって国の仕組みが作られるようになったそうです。
2.グローバル化の行き詰まり
グローバル化が行き着くところまでいってしまった結果として、グローバル資本家は次の収奪の対象を国外から国内の貧困層に向け始めたそうです。
資本家は国家のシステムを決められる立場にある(資本家>国家)為、貧困層を増やす施策が実行されます。例えば非正規雇用を増やす派遣法改正などがその代表です。
そして、貧困層から収奪するシステムの代表がサブプライムローンに代表される商品で、2008年のサブプライムローン問題でそれも行き詰まったそうです。
3.経済危機と資本主義の終焉
グローバル化が行き詰まったことで、金利がかつてないほどに低下し、世界経済はデフレに突入したそうです。
経済危機を救うために、一部の経済学者はケインズの時代に戻って大規模な財政出動をすれば良いと言うそうですが、過去に日本で200兆円あまりの大規模な財政出動が行われたがほとんど効果が無かったという結果が出ており、筆者はケインズ主義でもだめだろうと仰ってます。
歴史を眺めると、デフレに突入後は歴史的に大きくシステムが崩壊し、新たなシステムが誕生するそうです。
例えば16世紀まで続いた荘園制・封建制は、農業が地理的に広がり、技術が革新的に上がり、生産性が上がって供給量が十分になり、結果として農産物の価格が下がる(デフレ)ことで崩壊し、新たな土地(農地)を探すために国策として世界に出て行き、そのための資金を出すハプスブルク家等が王室とつながり、資本家と国家の一体化=資本主義・主権国家システムが誕生した。
16世紀の例から考えると、現在の資本主義が終焉するのは今から20年後かもう少し後頃になるそうで、じゃ、その次にどんなシステムになるのかは、この本では分からないとされています。しかし資本主義の終わり方については2種類提示されています。
4.ハードランディングとソフトランディング
事業清算型資本主義では、ある特定の事業が一気に広がり(バブル)、その後、急速に縮小(バブル崩壊)。その責任は資本家が負う(事業清算)というもので、これは昔のバブルとその崩壊の例です。
現在は、バブル清算型資本主義というものに変わっており、バブル発生後、資本家がその利益を受け、バブル崩壊後、その損失は国民が負う(国家の税金で救う、または財政出動で景気を良くする)というものです。バブル清算型資本主義が昔より頻繁に、より大規模に起きるそうです。
ハードランディングは、強欲資本家をこのまま放置しておけば起きるもので、中国のバブル崩壊で中国が保有するアメリカ国債が売却され、ドルが終焉するかもしれない。この場合、国家は戦争とインフレで解決しようとする。または国内で大規模な暴動が起きてマルクスの予言(革命)が起きるかもしれない。
ソフトランディングは資本主義の暴走に歯止めをかけるというもので、現在は資本家が国家の枠を超えて団結しているので、それに対抗して国家が世界的に団結して資本家に対抗しなければならない、としています。そしてそのためには資本家の暴走を止めるためにゼロ成長を実現する必要があるそうです。
以上、ざっと書きましたが、感想としてはグローバリズムの流れが歴史とともに分かりやすく説明してあって非常に参考になりました。
ただ、資本主義が終焉した後に何がくるのか分からない、としてあったのが若干物足りない感じがしたのと、資本主義の終わり方についてハードランディングとソフトランディングの2つが提示されていましたが、ソフトランディングはかなり難しいんじゃないかという感想を持ちました。
国際的に各国が協力して強欲資本家を止めるシステムを構築するというのはなかなか良いと思いましたが、ゼロ成長を目指すというのは、さすがに社会主義とか計画経済とかじゃないと不可能な政策だろうと思います。
それ以前に資本家は国家とすでにつながってるので、そんな政策が採用されるはずがないと思いました。
でも、ソフトランディングが難しければハードランディング(戦争・革命)となりますが、こっちはもっと嫌なので資本家が自重することを心から願うばかりでした。
