元ウクライナ兼モルドバ大使の馬淵睦夫氏による、世界情勢についての本です。

「国難の正体」ということで、世界の国に対する難問はどこから来て、誰が作っているのか?を述べた本です。


物凄く大ざっぱに概略を言いますと、

旧ソ連の大使だった著者は、「米ソ冷戦」だとか、「世界2大国」だとか騒がれている時に大使になったそうで、実際にソ連に行ってみたところ、ソ連はスーパーには食料衣料品も満足に置いてないほどの貧しい国だと知り、「こんな国が大国なわけない!」と思ったそうです。

じゃ、「米ソ冷戦」だとか、あたかもソ連が大国であるかのように宣伝してるのは誰なんだ?と思い調査したところ、驚くべき事実が分かったそうです。

米国は当時、ソ連に最も支援をしていた国だったそうです。

アメリカが当時最も敵対する国としていた国なのにです。

じゃ、その支援は誰がしていたのか?と調べたところ、ユダヤ資本の世界銀行家だったそうで、この世界銀行家というのは主にイギリスのロスチャイルド系列の銀行と、アメリカのロックフェラー系列の銀行だったそうです。

ここまで読まれた方で、陰謀論とかを聞いたことがある方ならば、あぁ、そっち系ね、と一蹴してしまうか、はたまた食いつくかのどちらかの反応をすると思うのですが、旧ソ連できちんとした仕事(大使)をしていた方が述べるわけですから、そこら辺の陰謀論と違って重みがあるわけです。

じゃ、アメリカは敵国になんで支援するのか?というと、敵国として大国があれば、それが脅威であればあるほど、武器や石油が値上がりして莫大な利益を得られる人達がいるそうです。

じゃぁ、その人達というのは誰か?

アメリカという国自体がもう世界銀行家(グローバル資本家)の支配下に治められていて、それはアメリカの中央銀行が国営ではなくて民間銀行であって、しかもその民間銀行の株式の多くをロスチャイルドとロックフェラー系列の銀行が持っていることからも明らかだそうです。

アメリカの中央銀行は株主に利子を支払うそうで、事実上の基軸通貨(ドル)を発行する度にこれらの民間銀行に対して利子が支払われる仕組みになっているそうです。

この仕組みに対してリンカーンやケネディはものすごく抵抗したそうで、その抵抗した人達がどうなったかは歴史が示している通りです。しかも真犯人は闇の中か、いまだに多くの謎が残されたままです。

この他にも中国、朝鮮戦争、ベトナム戦争等、興味深い話が続きますが詳しくは本書を読んで頂くとして、ここからは自分の感想です。

この本の一番の鋭い指摘は、

共産主義の持つ理想と、グローバル資本家の持つ理想は同じだということです。

ユダヤ人は歴史的に国家とか、ホームを持ったことがなかった為、世界市民とか、平等を標榜します。

これ、全ての財を平等に共有するという共産主義と非常に似ています。

共産主義も、グローバリズムも、どちらも一見論理的で非常に説得力があります。

しかし、どちらも結果は大きな格差社会です。

こんなことを言うと、グローバル資本家達は、そんなことはない。共産主義には機会さえ与えられないじゃないか。グローバル社会は確かに強いものが勝利するから格差を生むが、機会は平等に与えられるから誰でも勝者になれるチャンスがある!

確かに論理的にはそうです。ごもっともです。

共産主義は現代の視点から見れば誤りということになってますが、当時は非常な説得力を持って迎えられていました。

今はグローバリズムが説得力を持っています。

そうです。グローバリズムを唱える人自身が、かつての共産主義が出てきた時の状況と非常に似ているということに気が付いていないんです。
(もしくは確信犯かもしれません。)

グローバリストの話は、たしかにその通りで、説得力がありますが、結果が伴いません。

理由は、全てのグローバリストが理想通りに行動すれば良いのですが、一部の悪いグローバリストの動きを止める仕組みがないからだと私は思います。

昔の共産主義は国家単位だったので、反面教師として民主主義の国家は、国家の暴走を止める為に選挙を行うことで歯止めをかけることができました。(ただし、本書では選挙さえも見せかけの選択肢、とありますが。)

グローバリストに対してはそれが出来ません。悪いグローバリストにはご退場願いたいものですが、その仕組みがまだできていませんし、大抵の悪いグローバリストは存在さえ分からないことが多いです。

あまりにも長いのでここら辺で終わらせて頂きますが、共産主義とグローバリズムが非常に似ているということに気が付いただけでも本書を読んだ価値はあったかと思います。