この本、世界中で絶賛されたらしいです。
私も読んでびっくりしました。
分厚い本で、しかも上下巻あるのであらすじがかなり長くなってしまいました。

精神科医が行った人体実験があって、人間の手脚にカバーを掛けるなどして触覚を遮断し、身動きもできない程の狭い部屋、しかも真っ暗闇の部屋に閉じ込め(視覚の遮断)、音も聞こえないようにして(聴覚の遮断)閉じ込め、その上でさまざまな衝撃を与えると、人の脳は白紙の状態になってしまうという結果が出たそうです。

精神科医の建前としては、精神病の人の脳をいったん白紙にした上で、良いことをテープ等で何度も聞かせていれば精神病が治るだろう、という実験だったそうです。

結果、脳は白紙になるそうですが、治るどころか、むしろめちゃくちゃに破壊されてしまうそうです。
ナオミクラインさんが実際に実験された被害者に会ってインタビューする場面があるのですが、もうその人がかわいそうで。。(かわいそうというのは、もうその人は人としてまともじゃなくなってるという。。)

で、ここまでなら残酷な精神科医めー!って話で終わるんですが、この本の凄いところは、実はこの実験はCIAが手動して行っていたということを暴露してしまうところです。

CIAは犯罪者を効率良く自白させる為に拷問を研究していて、精神科医に資金を提供。上記の様な研究が行われていたそうです。

で、もっと凄いのは、これが実際に世界中で適用されてしまうというところです。
どう適用されるのか?
テロリストに自白させる為なのは勿論、それだけではありません。

シカゴ学派という経済の学派があります。ケインズ学派とかシカゴ学派とか、あの学派です。
ケインズ学派は大きな政府を標榜していて、不況時には政府がお金を出して国内にお金の流れを生み出します。
一方、シカゴ学派は政府なんかいらない。規制なんか一切いらない、っていう学派です。(この考え方の根底には、全てを民衆に任せれば、神様!「見えざる手」で良いように取りはからってくれるという、キリスト教的な考えがあります。)

過去に世界で内乱とかクーデター、大災害が起きた国がありますが(ショック)、その度に「国を復興させる」という名目で経済学者が政府の中枢に入り込みます。

そして従来の規制を撤廃し、外資が入り込み、その国の国民を雇わないか、搾取する仕組みを作ります。これが非常に素早く行われます。(つまり予めショック時にやることが用意されている。
国内は大混乱の最中(脳が白紙になっている)なので、これらの法案が国民に知られること無く通ってしまいます。(民主主義の無視)

これを推し進めたのがことごとくシカゴ学派で、この流れをショックドクトリン、またの名を惨事便乗型資本主義と呼んでいます。
これはまさしく精神科医が行った拷問の研究と同じであり、一応立派な建前があったとしても、破壊的な結果しかもたらしません。

これを推し進めた人として具体的な名前も挙げられていて、ラムズフェルドやチェイニー、ブッシュ等、いわゆるネオコン(新保守主義)と呼ばれている人達です。(キリスト教団体が強烈に指示しています)
この人達の中で、特にラムズフェルドは政府の中枢にいながら、軍事、石油、製薬企業(タミフルで有名な)の株を保有し、莫大な利益をあげたそうです。ちなみに死者を出した危険な薬(タミフルもそうです)を認可させたのもラムズフェルドだそう。

本にはチリやソ連、中国、韓国等、もっと具体的にどのようなことが行われたか書いてあるのですが、大体の流れとしては上記の様な流れです。

以上があらすじですが、長くなってしまったので感想はまた別の機会に書かせてもらいます。