いろいろと自分の考えを改めなければならないと考えさせてくれた本でした。
これから概要と感想を書きますが、非常に長くなってしまいました。

概要としては、これからの世の中は、個人が物を作り、世界中にそれを売り出すことができるようになる(もうすでにそうなっている)というお話で、これは産業革命以来の大革命だよ、というお話です。

今でもツイッターやフェイスブック、アマゾン、グーグルみたいな、ウェブサービスは個人が作って、世界中でほとんどタダ同然で使われていますが、そのお話は前著「ロングテール」や「フリーミアム」等で語られたお話で、もう過去のお話です。

この本で言っているのはそういう事ではなくて、実物、物理的な質量を持つ物を個人が作れるようになる(なっている)というお話です。

ちょっと前の時代までは、個人が何か発明した場合に、それを企業に作ってもらい、企業が売り出し、企業からその何パーセントかのマージンを受け取る(但し権利は企業の物になり、儲けの殆どは企業のものになり、そもそも企業がそのアイデアを採用しない場合や、盗用してしまうリスクがある)という手法をとらざるをえませんでした。

何故かというと、個人は物を作る設備を持つだけの資本を持っていないからです。
ここでマルクスが言うところの、労働者が労働し、資本家がその利益を得るということになるのですが、クリスアンダーソンによれば、これからはその旧来から続いてきた資本家と労働者の関係そのものが崩れる、ということだそうです。

例えば3Dプリンタや工作機械などはフリーのCADソフトでデータを作り、ネットで送ればそれを実際に作ってくれる会社があるそうです。(個人が高価な設備を買うことなく、安価に物を作れる
著者はやたらと3Dプリンタを推してくるんですが、著者が作った会社もそういうサービスをしてるそうで、お前それ自分の会社の宣伝じゃねーか!って突っ込みを入れたくなりましたが、まぁそこは著者さんがそういう世の中になるという確信を持ってるからだと良い方にとらえることにしました。


で、ここからちょっと驚かされたのですが、今、オープンソースとかで無料ソフトが作られてますが、これは世界中の人達が世の中の役に立ちたくて作ってるわけで、特許とか権利を主張して金を稼ごうとかは思っていないそうです。
むしろ自分の作った物を利用してもらえれば、自分の能力が認められたことになるのでどんどん利用してほしい位だそうです。(模倣の推奨

クリスアンダーソンによれば、これが実物の世界にまで広がってきて、世界中で模倣物が作られるようになるし、それは作っている時点で既に織り込み済みなことだそうです。
これが進んでいる国として欧米は勿論、中国もあげられています。

中国はよくモノマネ天国として悪人扱いされますが、モノマネ業者は、自分の所の技術をオープンにしていて、モノマネ業者間で技術を共有しているそうです。また、こういった企業はニッチな市場を相手にしているので、独特な個性ある製品が作られやすいそうです。

このようにしてこれからは個人が物を作って世界を相手に商売をしていく事が可能になるそうですが、残念なことに、日本の話が殆ど全くと言って良いほど出てこないです。出てくるのは欧米や中国人ばかり。日本は完全に蚊帳の外。

日本人に人気の職業は公務員らしいですが、公務員ってはっきり言って「創造」することに関してはほとんど何もしない所なので、これはいけないです。
日本人、もっと頑張りましょう、と思った感想でした。