4月。
だんだん温かい春の風が吹き始め、道を歩けば鮮やかな桜が目に止まる。
世間は出会いの季節。
新しい生活のスタートに胸をときめかせ、これからの日々に思いをつのる。
が、そんなことは留年生には全く関係ない。
この季節、胸ときめかせる新入生や新社会人は目に毒で、
むしろ誰とも出会いたくない季節である。
2留が確定した翌日、僕はその日のうちに就職するはずだった会社に電話をかけ、
正式に内定取り消しをいただいた。
そして、その日のうちに就活サイトに再登録し、説明会やWebエントリーをしまくった。
2留のショックから、頭は真っ白、足はおぼつかず、目の焦点は合っていなかったが、
とにもかくにも前に進むしかないという意思だけが身体を動かしていた。
何留していようと、存外最終面接やその一歩手前までは進めるものだが、
そこから先の壁が非常に高い。
それはそうである。人を雇うということはそれなりにリスクがあることで、
責任者が2留という札付きを取ろうと思うにはそれなりの理由が要る。
現役生と同じレベルでは当然ダメなのだ。
自分でもこれ以上ないほど自己追求し、喋りもPRも練りに練り、
それでも落ちる時はあっけないほど簡単に落ちる。
それが繰り返されるのだ。
何度も、何度も。
これは辛い。
面接とは人を見る場なわけで、落ちれば落ちるほど、
自分が全否定された気持ちになってくる。
自分は社会から必要とされていないのではないかと思えてくる。
絶望だ。
そして気分さえも落ちに落ちた時、
僕は面接会場への電車に揺られる中、流れる景色を後目にふと思ったのだ。
「どう考えても、こんなところで終わる人間じゃないな」と。
人生とは、最後の最後には自分を信じれるかどうかが物を言う。
というか、自分ですら信じていないような人間を誰が雇うというのか。
ここからが僕の面接の始まりだった。

