人は、苦しみに満ちたこの世界からの救いを求めて、内なる世界へと旅を始めます。
それは、地図も持たず、真っ暗な世界をさ迷うようなものです。
いかなる困難にもめげず深く進むなら、そこには変わることのない平安・静けさ・安らぎを見つけます。
世界の中に自分がいるのではなく、自分自身の中に世界があることを体験します。
つまり、自分というのはこの体ではなく、世界を包み込み超えている意識だということを発見します。
これが、いわゆる否二元とか言われるものです。
しかし、これは救いでも何でもありません。
なぜなら、自分というものも変わることなく存在し続け、世界や他人もまた存在し続けるからです。
その時、自分自身の内側に沢山の感情が蓄積されていたなら、怒りや恐怖と言った感情を感じさせられる出来事が次から次へと起こり、大変になってしまいます。
なぜなら、それは中心に明かりが灯ってしまったからです。
それは、ランプに明かりが灯ったようなものです。
そして、表層にはたくさんの感情が蓄積されている。
その感情とは、ランプの上に塗られたおどろおどろしい色のようなものです。
中心に明かりが灯ると、そのおどろおどろしい色が、周りに映し出されます。
それが、次から次へ現れる大変な出来事です。
にも拘らず、否二元（中心）に固執するなら、世界（二元）を見失います。
世界（二元）に戻るなら、否二元（中心）を見失います。
否二元に拘るなら、世を捨てて出家しなくてはならなくなり、世界で生きることは失われてしまいます。
世界で生きることを楽しむなら、否二元は失われてしまいます。
そして、どちらを選んだとしても、もう一方は失われてしまいます。
結果として、本来の自己をトータルに生きることができず、再びこの星に生まれてきてしまいます。
私たちは、中心の空では一つです。
そして、表層ではそれぞれに独立した個人です。
この二つを同時に生きる時、初めてトータルに生きることができます。
それこそが、この星にやって来た目的であり、これを生き切ってこそ、この転生の輪を超えることができるのです。
そのカギとは、一つと個を隔てている壁に気づき、受け入れ、変容することです。
その壁とは、今生だけでなくこれまでのすべての転生で蓄積してしまった傷や感情や思い込みやプログラムなのです。
その壁が溶けて消えた時、一つであり個であることの間には、何の矛盾も無くなります。
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