さよなら田中さん / 鈴木 るりか
前作が面白かったので同じ著者のデビュー作を読んでみた
前作と登場人物は、ほぼ同じ
小学生の花ちゃんと母親の貧乏ながらも楽しい
生活の様子が描かれている
貧乏でも子供の話はきちんと聞いてあげて
子どもが要求することには何とか応えようとする母親
それがわかっているから逆に欲しいものが言えない花ちゃん
母親を気遣う、その気持ちがいじらしい
中盤で突然語り手が「僕」になる、「僕」誰?
それは花ちゃんの同級生の男の子で
彼の視点で花ちゃんの人物像が語られる
このあたりは前作と似ているかもしれない
続きは明日でいいかと思っていたのに
帰宅後も読み続け、結局一日で読了
グイグイ読ませるチカラのある文章
14歳だからとかいう枕詞は、もはやいらない
優れた小説家だと認めざるを得ない
みなさんが絶賛する意味が読んでみてわかった
もっと早く読んでいればと後悔している
今作と前作の間にあと2冊あるらしい
今から読むのが楽しみだ
文庫新装版である本書の巻末には
表紙絵の作画を担当した西原理恵子さんの
ショートコミックが掲載されている
そして著者によるショートエッセイもあり
7年後に自分の書いた文章を客観的に俯瞰している
とってもオトクな一冊だ