おでんオデッセイ / 山本 幸久
とある地方の駅前にある伊竹商店街
その一角におでん屋台「かいっちゃん」はある
店主の静香は大手商社をやめて故郷の伊竹市に戻り
実家の練物屋を手伝いながら屋台を営んでいる
本書は7話で構成されているが
それぞれのタイトルが、おでんの具になっている
第1話が「ちくわぶ」、すかさず著者のプロフィールを見る
東京出身と聞いて納得、第5話の「東京揚げ」も興味深い
序盤は常連客とのほのぼのとした触れ合いが主に描かれるが
後半では、偶然来店した東京の老舗百貨店のバイヤーから
毎年行われる特別催事への出店を打診されて・・・
それまで客のあまり来ない、さびれたおでん屋台だったのが
あれよあれよという間に全国区になってゆく
うまくいきすぎとは言いたくない
現実があまりにも、ままにならないからこそ
物語の中では「うまくいきすぎる」ぐらいがちょうどいい