黒い絵 / 原田 マハ

 

 

 

この不気味な表紙の絵は、もちろん実在しない

そして「黒い絵」というタイトルながら絵が登場しない

 

原田マハさんで、このタイトルならば当然

美術系の物語を予想すると思うが

そういう方には少し期待外れかもしれない

 

それどころか、どの章もエロチシズム全開で

従来のマハファンは面食らうだろう

 

第二章「楽園の破片」

どこか「楽園のカンバス」を思い出させる物語

 

物語の閉じ方がとてもいい、好きな終わり方

私も何度か自分のブログで真似させてもらった

 

深く余韻を残すフィナーレ

読み終わった時にひとつの絵が立ち上ってくる

 

そうか、著者はあえて絵を前面に出さず

読んだ読者にそこに描かれていた「絵」を

創造させるのが狙いだったのか

 

私はかつて彼女の本を読んで

同じような経験をしたことがある

 

原田マハさんの小説をひとことで言うと「余韻」

これもまた、それを存分に味わわせてくれる一冊だった