山の上のランチタイム / 高森 美由紀

 

 

 

 

オムライスが食べたくて食べたくて仕方なかった時

 

ふと目にした、この一冊

 

これは読むでしょ!

 

 

 

本州最北県の南に位置する標高約五百メートルの葵岳

 

その登山口に「コッヘル デル モタキッラ」はある

 

ローマ字表記にすると"Kocher del Motacilla"

 

 

 

「コッヘル」はドイツ語で、キャンプで使う調理器具

 

 

 

 

「モタキッラ」はラテン語で「キセキレイ」

 

 

 

 

舌を噛みそうな、この名前を使う人はおらず

 

地元の人は親しみを込めて「葵レストラン」と呼ぶ
 

 

 

地元の食材を使った創作料理が受けて

 

地元の住人、特に女性たちや

 

ハイカーたちで店はいつも賑わっている

 

 

 

調理担当の店長の明智登磨

 

調理補助の青木美玖

 

フロアーの中学生の明智瑛太

 

この3人で店を切り盛りしている

 

 

 

瑛太は不登校で、叔父の登磨の店で働かせてもらっている

 

ある事件で美玖に助けられてから、少しずつ学校へ行くようになり

 

美玖に対して親愛の情を抱くようになる

 

 

 

美玖は失敗ばかりで、そのたびに落ち込むが

 

登磨に仄かな恋心を抱いていることもあり

 

辞めずに頑張って働いている

 

 

 

美しいみちのくの自然と

 

時おり聞こえてくるキセキレイの鳴き声に包まれて

 

素朴な人々が働く、ちょっと素敵なレストランの物語だ

 

 

 

表紙にあるように、オムライスがこの店の人気料理のひとつだ

 

料理について、こんな記述がある

 

「ふわふわで、とろっとろ。玉子の甘さとケチャップの酸味がちょうどいい。

 

 チキンライスのご飯も硬すぎず軟らかすぎず、おこげが香ばしい。

 

 鶏肉もジューシーだし、半透明のタマネギがシャキシャキ。」

 

 

 

おこげがあるチキンライスと聞いて、思わず喉が鳴った

 

先日食べたような完成された隙のないオムライスもいいけれど

 

どこか家庭的で、人の手のぬくもりを感じるオムライスもいいなって思った