那須与一① | 藤原の田中のブログ

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 今日は、「那の須与一」のところを取り上げてみました。あの、遠くにある扇の的を見事一本の矢で打ち抜いた源氏のさむらいですね。源平合戦の名場面の一つです。

 (古典語)

 与一其比(そのころ)は廿(にじゅう)ばかりの男子(をのこ)なり。かちに、赤地の錦をもっておほくび、はた袖いろへたる直垂(ひたたれ)に、萌黄威(もよぎをどし)の鎧着て、足白の太刀をはき、切斑(きりふ)の矢の、其日のいくさに射て少々のこったりけるを、頭高に負ひなし、うす切斑(きりふ)に鷹の羽はぎまぜたるぬた目の鏑をぞさしそへたる。滋籐(しげどう)の弓脇にはさみ、甲(かぶと)をばぬぎ高紐(たかひも)にかけ、判官の前に畏(かしこ)まる。

 (現代語)

 与一はその時は二十ぐらいの男である。赤地の錦で衽(おくみ)や端袖(はたそで)を彩った褐(かち)の布直垂(ひたたれ)に、萌黄縅(もえぎおどし)の鎧を着て、足金(あしがね)が銀作りの太刀をさし、その日の戦(いくさ)に射て少々残っていた切斑(きりふ)の矢を、頭の上に出るように背負い、薄い切斑(きりふ)に鷹の羽をまぜて作ったぬた目の鏑矢を、それに添えてさしていた。滋籐(しげどう)の弓を脇にはさみ、甲をぬいで高紐にかけ、判官の前に畏(かしこ)まった。

 (英訳)

 Yoichi, a man of around twenty, wore a dark blue battle robe trimmed with red brocade at the lapels and sleeve edges and a suit of greenish yellow-laced armor. He carried a sword with a silver cord ring and a quiver, visible above his head, containing the few black-spotted white eagle-feather arrows left from the day's shooting. These were fledged with black and white eagle feathers, and with them he carried a deer-horn humming arrow with hawk feathers and black and white eagle feathers. Holding his rattan-bound bow under his arm and doffing his helmet so that it hung from his shoulder cord, he made his obeisance before Yoshitsune.

 (追記)

 ここのところはもう少し取り上げてみたいので、また後日、解説してみたいと思います。今日は時間がないのでここまで。

 でも、出で立ちのことについてずいぶん詳しく描写していますよね。まるでファッションショーみたい。(笑) 武士にとっては自分がどんな鎧を着ていくかも重要なことだったのですね。そしてそれはたぶん、死んだ時に、自分の死を華々しいものにしてくれる道具だったのかも知れません。その那須の与一の出で立ちについて、もう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。