ある時期、厳格な菜食をしていた。
思いつきではなく、勉強もした。
自分の体はもちろん、精神にも良い影響があると考えていたし、地球環境や他の生命にもやさしいと信じていた。
今はどうか。
どちらでもよし、どうでもよし、の境涯に入ってしまった。
食材に気を配るに疲れたというのもある。
情熱は失われ、よく言えば、とらわれがなくなり、頑なさがなくなった。
ゆるんだ決定的な原因として、よそ様に気を遣わせる自分の不遜さ、尊大さに嫌気がさしたことがある。
これは食べられるんだっけ?
これは食べられないよね。
別のを用意するね。
食事の度に、煩わせている。
てめえは何様なんだと。
自分かわいさに、身勝手を通し、人を巻き込んでいる。
そこまでして、得てどうする?
良心の呵責というのだろうか。
ただ信念を貫き通す強さがなかっただけかもしれない。
でも過去の自分より、今のいい加減な自分の方が好きだ。
人にもやさしくなれたし。