風邪の効用 | ハリーの養生訓

ハリーの養生訓

僕が見つけた養生

インフルエンザが流行する季節です。

このように、ニュースや新聞で見聞きすると、「こわい」「かかりたくない」と心身が萎縮、硬直するのを感じます。

もしかしたら、ウイルス感染以前に、心身の状態がインフルエンザを迎え入れているようです。

野口晴哉は「風邪の効用」でこのように述べています。

『一端方向づけられたら、意思でどんなに努力してもその空想には勝てない、 結局空想が方向づけられた方向に体の動きは行ってしまうということです。 寒いから風邪を引くと思っているお母さんの子供程、寒いと風邪を引く。 栄養が足りないと風邪を引くと思っているお母さんの子供程、栄養が悪いと風邪を引く。 寝相が悪いと風邪を引く、コタツに入っていると風邪を引く、 ぬるい湯に入ると風邪を引くと言ってそれを警戒している人達程、そういうことで風邪を引く。 それでいて私共のように、風邪を引いたらそれを機会に体を治そう、 癌になるような鈍い体にならないように上手に経過しようと思っていると、 今度は風邪の方が意地悪をしてついてこない。 だから風邪を引こうなどと決心したら最後、風邪はなかなか引けないのです。』

「病は気から」と言いますが、心のあり方が、体に影響することは、経験上大いに首肯できることです。

さらに、忌み嫌われる風邪をも活用しようとしたところに、野口晴哉の卓見が表れています。

『風邪は万病の元という言葉に脅かされて自然に経過することを忘れ、治さねば治らぬもののように思い込んで、風邪を引くような体の偏りを正すのだということを無視してしまうことはよくない。体を正し、生活を改め、経過を待つべきである。このようにすれば、風邪が体の掃除になり、安全弁としてのはたらきをもっていることが判るだろう。吾々は体癖修正のために進んでその活用を企画している。』

具体的には「風邪を全うする要領」として、6項目あげています。

一、体を弛めること
偏り疲労部分は弛めようとしても弛まない。寝ていただけでは弛まない。そこで各人の体癖に適った整体体操の型をやって眠りに入ればよいのである。こうすれは偏り疲労部分も弛む。しかし平素、活元運動をしている人なら、自分の体が快く感ずる姿勢をとれば自ずとそうなる。

二、冷やさぬこと
特に汗の体を風に当てぬこと。熱が出ても冷やさぬこと。出なくても冷やさぬこと。

三、温めること
積極的に温めるためには次の方法がよい。
後頭部を40分間、一本の熱いタオルを取り替え取り替えして温める。(タオルは小さくたたむほどよい)
喉の風邪の場合は足のくるぶしがかくれる程度の湯に4分~6分間足湯する。よく拭いて赤くならない方の足をさらに2分間温める。(入浴の適温温度より2度高くする)
温めた後は冷やさぬ注意が肝要、熱が出切っていない時は一旦熱が上がってから下がる。

四、発汗は引っ込めないこと
乾いた温かいタオルでよく拭くこと、汗がネバネバしている間は下着を取り替えず、サラッとしてから温めた下着に取り替えること。その時、冷やして汗を引っ込めぬよう注意すること。

五、風邪の全行程における急処
平温以下の時期を安静にすること。
平温に復したらすぐ起きること。(余分に用心しないこと)
この二つが風邪活用の急処である。

六、水分を多めにとること


風邪をひき、つらい症状に悩まされている最中は 不安に駆られるものです。
そんなとき、「風邪の効用」をひっぱり出してきて読むと、不思議と不安がなくなり、前向きな気持ちが出てきます。

僕にとってなによりの特効薬かもしれません。