ON AIR!!生徒会 ~第5話「常に1番、夢は1番、ついでにいるのは3馬鹿トリオ」~
「3馬鹿トリオ結成ね。」会長は溜息をついた。「俺はそこまで悪くないんだけど。」毎度ながら無駄だと思っていても抗議する俺がいる。「2馬鹿ペアじゃ語呂悪いじゃない。」会長は俺の淹れたお茶を飲む。
「ボク、決めたんだ!一番を取るって!」砂畑は自分のテストを掲げ会長のそばに行き「勉強教えて~。」とくっつく。「美卯ちゃん。一番って上からじゃなくて下からなの?」会長は容赦なかった。
「はぁ。」俺は溜息をつき最後の馬鹿のほうを見る。「いつまで落ち込んでるんだよ。タイガ。」「ほっといてくれ。」タイガは三角座りで床にのの字を書いて暗いオーラを放っていた。
「あんなにがんばったのに……。」タイガの周りの重力は今通常の3倍くらい重い。
「タイガ。次がんばれよ次、それに赤点はないんだろ?」タイガにお茶を淹れて渡す。ずずーっと飲んでから「ありがとうタクミ。でも当分テンションあがらね~よ。あとおかわり。」「たっくん、私もお願い。」「ボクも~。」
3人から湯飲みを受け取りお茶を淹れる。だいぶ俺も給仕係の仕事に慣れてきた。慣れて、慣れ……。なんか違う気もするがまあいいか。
「はい、どうぞ。」俺はそれぞれにお茶を渡す。三人はお茶を飲み一息つく、俺もお茶を一口飲んで一休み。
「とりあえずテスト期間終わったんだから気分入れ替えようよ。」俺はぼーっとお茶を飲む。
「たっくんはテスト期間でも変わらないわよね。」会長はお茶を飲む。
「なのにボクより点数高いってどういうことだ~。」と言って砂畑は会長にお茶を飲まされる。「少し落ち着きましょうね。」笑顔で会長は砂畑に飲ませている。砂畑はこくこくとのどを鳴らして飲んでいた。
「ほんとタクミの頭ってどうなってるんだ。」少し気分が落ち着いてきたのかタイガはちょっとだけ虚ろな目でお茶を飲む。「基本一夜漬けだけど。」と俺はだらけていた。
「一夜漬けでよくもまぁ平均点取れるわね。」会長は感心していた。「解剖してみたいわ。」「してみる?」会長もちょっとだらけムード、砂畑は会長の冗談を真剣に受け止めている。「冗談じゃないわよ。」「思考読むのやめようよ。というか冗談にしといて。」自分の席に座り、頬を机に押し付けて俺はだらける。「でも、たっくんの頭の中身気になるわよ。」「そうだな。いつも何考えてるかわからねぇしどこに知識詰まってるんだ?」「どうでもいいこといっぱい知ってるもんね。」完全にみんなの意識は俺の頭の中の話ようだ。
「お花畑とでも思ってくれていいよ。」俺は面倒くさくなってきたので適当に答える。「そんなぽかぽかな分けないじゃない。」会長は俺に抗議した。「そうだぞ。どちらかと言ったらお前の頭の中は未知の領域。そんなほわわ~な感じじゃねぇ。」タイガのほわわ~と言ったときの顔がちょっとだけかわいかった。「そう、まさに宇宙っ!」と砂畑が言う。
「それはないわね。」「それはないわ。」会長とタイガは否定した。
「タクミ~。ふたりがぁ」と俺に泣きついてくる砂畑。ひざを貸してやり座らせて頭を撫でる。「泣かせちゃったわね。」会長とタイガは悪いと思っている様子はなかった。「まぁ確かに宇宙はいいすぎだと思うけど、そんなに俺の考えていることわからないのか?会長は俺の思考読んでるから余計にそう思うぞ。」なでなでと砂畑の頭を撫で続ける。「確かにそれは言えてるな。」タイガも同意してくる。
会長は少し考えた後「そうね、それはもっともな意見だわ。だけど私がたっくんの思考を読めるのはある条件を満たさないといけないのよ。」会長はお茶を飲む。
「それってどんな制限能力だよ。」タイガはツッコんだ。「意外と条件厳しいのよ。」会長は湯飲みをコトンっと机の上におき真剣な顔つきになる。「たっくんの思考を読むにはね。」説明を始める。俺とタイガは息を呑み話を聞くことにした。
「まず、たっくんの行動を制限する。次に会話の流れを自分で作り、主導権をとる。たっくんを観察する。以上よ。」
「「そんだけ?」」俺とタイガは声をそろえて言う。「そうよ。」会長は継ぎ足すように「出来るようになるまで大変だったわ。」と遠い目をしている。
「なぁ大変だったってそんなにタクミを観察してたのか?」「ええ、そうよ。」会長は即答する。
「ちなみにこれが観察のレポートよ。」会長が自分のかばんから取り出したのは『TAKUMI観察レポート VOL.657』とあった。
「会長。657ってことはその前もあるんだよな。レポート。」「もちろんよ。ちなみにちゃんと写真つき。」と言ってぺラっと紙をめくり一瞬だけ中身を見せる。「ちょっ。」今信じがたいものを見た。すっかり忘れていたがあのときの写真、そう黒猫コスプレの写真が張ってあった。「ちょっとそれよこせっ。」俺は立ち上がって会長からレポートを奪おうとしたが「立ち上がれない……。」「残念ね。」会長はくすくすと笑っている。あの顔は「まさか計算どおりだったというのか。」とタイガが先に言う。
「そんな馬鹿な。」俺は立ち上がれなかった。
なぜか。それは至極簡単な話。ひざの上で泣いていた砂畑が泣きつかれて俺を抱き枕にするようにしがみ付いて寝ている。これは一種の拘束具だった。「迂闊に外せないだと。」「考えが甘かったわね。」会長はどこから持ち出したのかカメラを構えシャッターを切る。「会長。」「なに、タイガ?」「その写真後でもらえますか?あと今度レポート見せてください。」タイガは交渉している。「高いわよ。」会長はいいカモだといわんばかりの悪人顔で電卓を持ち出して「これくらいでどう?」「もうちょっと安くなりませんか?」「じゃあこれくらいで・・・・・・。」俺が動けないことをいいことに二人で商談を始める。「砂畑っ起きろ。起~き~ろぉおお。」俺は砂畑を起こそうとするが「えへへ~もう食べられないよ~。」と寝言を言う。って「おい、よだれたれてる。よだれ垂れてるってば!さっさと起きろ~っ。」それでも砂畑は起きなかった。その代わり俺の胴体をつかんでいた腕がしまり始める。「わ~い大きなクマさんだ~。」砂畑は大きなぬいぐるみに抱きつくの夢でも見ているのだろうか。「って痛っ、と言うか苦しい。ちょっとギブギブ。ギブだってば。」砂畑のどこにこんな力があるのだろうか、ぎゅうぎゅうとしまる腕、俺は苦しむが会長とタイガは商談中。ちょっと二人ともこっちに気づけ。
「商談成立ね。」「会長、一生ついてきます。」タイガは会長に落とされた。
「あら、たっくんどうしたの?」「真っ白に燃え尽きてるな。」タイガと会長は俺を見ていた。
「砂畑は確かに一番だった……。」そのまま俺は気絶した。
「なにが一番だったのかしら。」「抱き心地じゃないか?」「そうかしらね?」
一番無意識に人を苦しめる生徒会役員、その名は砂畑美卯。俺はもう砂畑をひざに乗せて慰めないと決めた。