マンションの「駐車場使用料」は積立金会計にプールされるべきなのである。
国土交通省のガイドラインはこう謳っている。「駐車場使用料その他の敷地および共用部分に係る使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる」(標準管理規約29条)。
「管理費」の大部分を占める「管理委託費」すなわち管理会社への報酬は、管理会社としては、そこはしっかりと確保しておきたいのは当然である。そこで区分所有者に安く見せるテクニックとして、「駐車場使用料」を積立金会計ではなく、管理費会計に入れるという手法が使われる。
「駐車場使用料」を管理費会計の収入とすることによって、管理会社は自社の収入を確保した上で、各戸の「管理費」という徴収金額を抑えることができるわけだ。しかし、それは本来なら「修繕積立金」として積み立てられるべきお金なのである。その一部は「管理委託費」として管理会社に“献上”しているのが実態なのだ。
こうして管理会社に支払われる「管理委託費」は、ほとんどのマンションにおいて高めに設定されている。
上下階の騒音トラブル、ゴミ置き場の清掃問題、大雨による浸水、欠陥工事、管理費等の値上げ、大地震の被害……。分譲マンションに住む人にとって、悩みや不安はつきません。 さらに、新型コロナウイルスによる外出自粛で在宅勤務になり住環境の重要性に気づいた人も多いことでしょう。 『マンション管理はこうして見直しなさい』では、「うちのマンションは大丈夫だろうか?」と感じている多くの人に向けて、マンション管理のプロである著者が、イライラや不安、疑問などの問題をわかりやすく整理して、解説。 今回、本書の中から紹介するのは、分譲当初の管理組合がぜひ取り組みたいのが「アフターサービス」の徹底活用です。不具合を無償補修し、マンションを完成品にしましょう。 【この記事の画像を見る】 ● 「アフターサービス」を使ってマンションを完成品に 分譲当初の新築マンションにおいて、管理規約(原始規約)の内容や管理費・修繕積立金の金額に注意すべきことを述べてきました。 いずれも、売主である不動産会社の都合によって、購入者(区分所有者)に不利な点があるかもしれないからです。 これらについては早い段階で管理組合で、具体的には理事会においてチェックし、議論したほうがいいと思います。 もうひとつ、分譲当初の理事会でぜひ取り組むことをお勧めしたいのが、「アフターサービス」の徹底活用です。 自動車や家電製品と同じように、新築マンションにも「アフターサービス」が付いています。 これは、引き渡しから一定期間内に建物や設備に不具合が見つかった場合、その原因や理由を特定できなくても、売主の不動産会社が無償で補修してくれるという契約です。 そもそもマンションなど建築物は、それぞれの現場での一品生産であり、屋外で人手による作業で造り上げていきます。工場生産される工業製品と比べ、明らかな欠陥というほどではないものの、本来の機能や性能が発揮されない不具合がそもそも起こりやすいのです。 また、分譲マンションは例年、年度末の3月に完成・引き渡し予定のケースが多く、工期が遅れていたりすると、納期優先のプレッシャーによって手抜きが起こるリスクが高まります。 分譲マンションはアフターサービスによる無償補修によって、不具合や施工ミス、手抜きを直すことで初めて完成品の状態になるということをよく理解しておきましょう。
● 「内覧会」は室内の仕上げが対象 こういうと、「内覧会があるんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。 「内覧会」とは、青田売り(建物の工事中に売買契約を結ぶこと)によって購入した新築マンションが完成し、買主に引き渡される前に、でき上がり具合をチェックする機会のことです。 しかし、「内覧会」でチェックするのは専有部分だけであり、住戸内のクロスなどの汚れやキズ、設備の設置状況などにとどまることがほとんどです。もちろんそうした点を直すことも必要ですが、マンションの将来的な価値や住み心地を大きく左右するのは共用部分なのに、共用部分のチェックはまず行われません。 そもそも購入者のみなさんは自分が買った住戸の室内のことだけで頭がいっぱい。共用部分まで気が回っていません。 こうして、ほとんどの購入者は分譲マンションにおける「アフターサービス」の重要性を見過ごしています。「内覧会」でのチェックで満足してしまうほか、「アフターサービス」と聞いても家電製品や自動車と同じ感覚で、「対象となるケースはそんなにないだろう」「もし、問題があれば売主がリコールするはず」となんとなく思っているのではないでしょうか。
● 「アフターサービス」は2年などの期限に注意! 家電製品や自動車のような工場での大量生産品ではリコール制度があり、不具合があればメーカーがリコールを行い、責任を持って修理を行います。 しかし、現場での一品生産で造られる分譲マンションでは、よほどひどい(誰にでも分かる)欠陥があった場合は別ですが、売主の不動産会社が「こんな不具合があったので直します」などと申し出ることはあまり聞きません。 「有名なデベロッパー、大手のデベロッパーはそんなことないだろう」と思われるかもしれませんが、横浜の傾斜マンションとして知られる事例では、住民側が不動産会社(それも大手財閥系)と粘り強く交渉してやっと相手が責任を認めました。 また、アフターサービスで重要なことは、消費者(購入者)の側が不具合や欠陥を指摘しなければならないということです。リコールでもきっかけは一部の消費者(購入者)の指摘であることが少なくありませんが、いったんリコールになれば広く同じ製品の購入者にも適用されます。しかし、マンションは一品生産であり、アフターサービスの適用を申し出た購入者(管理組合)しか対象にならないのです。 さらに、アフターサービスには適用期限があります。建物の部位や設備によって異なりますが、図表17のように新築引き渡しから2年間という部位が多く、最も長い建物の構造体(鉄筋コンクリートでできた柱、梁、床スラブ、壁など)でも10年です。 こうした期間内に不具合や欠陥を指摘し、アフターサービスによって無料補修してもらうかどうかで、建物や設備の劣化具合、管理組合の資金計画、さらにはマンションの資産価値も左右されるといって過言ではないでしょう。