4年ぶりのS&Mシリーズです。
4年ぶりに読んで気づかされたのが、比喩表現で素敵なものが多いなということ。
犀川と萌絵の会話が軽妙で素敵だなということ。
【私的 詩的私的ジャック 名言】
p38
「でも、遊びが仕事になっちゃいました。今は生産してます」
「仕事が遊びになるよりは、いくらか良いね」
結城稔&犀川創平
p39
「これから火星にでも行くみたいじゃないか」
犀川創平
p46
最近、こういった気を遣うようになった自分を、情けなく思う。
犀川創平
p72
「そもそも、男女平等と職業とは無関係だ。つまり、男と対等になるために、仕事をするなんてナンセンスだと思う。それでは、仕事をしている者が偉いという、馬鹿な男が考えた言い訳を認めることになる。いいかい。仕事をしていても、遊んでいても、人間は平等だ。問題をすり替えてはいけない」
犀川創平
p73
「馬鹿から馬鹿にされても、怒っちゃいけない。動物園のゾウとかキリンとかだって、人間のことを馬鹿にしてるかもしれないじゃないか」
犀川創平
p110
「あら、どうしてわかってしまったのかしら・・・・・・」
「顔に書いてある」
「おかしいなぁ、ちゃんとお化粧してきたのに」
西之園萌絵&犀川創平
p113
「研究ってね。何かに興味があるからできるというものじゃないんだよ。研究そのものが面白いんだ。目的を見失うことが研究の心髄なんだ」
犀川創平
p142
あれがナイーブといえるのなら、水爆だって風船ガムみたいなものだ。
西之園萌絵
p255
「煮もののような方ですね。鵜飼さんって」萌絵は小声で言った。こういう相手には、意味のないことを言うに限る。それは犀川から伝授されたテクニックで、ジョークの燕返しと呼ばれている。
「煮もの? 煮ものですか?」今度は鵜飼が口を開いた
西之園萌絵&鵜飼
p367
気分は、二十トンのロードローラーに踏まれたばかりのクレープみたいにぺしゃんこで、どうしようもなかった。
p403
「こんな夜は、シャンプーハットみたいなものだ」
犀川創平
p446
熱いブラックコーヒーを喉に流し込むと、まるでマヨネーズのプールに飛び込んだみたいに、酸っぱい一日の始まりに突然気がつき、コマの心棒を擦るように慌てて頭を回転させて、「されと・・・・・・」などと独り口にする。けれど、向かいのビルの窓ガラスに映る自分を眺めたり、時間をバウムクーヘンの年輪みたいに意識して、ようやく、ゆっくりと、その流れにボートを出す。
犀川創平