匿名の陰口に噂話、そこから生まれる疑心暗鬼。
結局ネットなんて村からどんどんその範囲が広がっただけで
人間の本質なんてそう変わらないのだなと感じました。
実はカフェクリスティで開催されていた「キッチン・ミス・マープル」のためにマープルシリーズ読破を目標にしていた2015年夏、未達成でした・・・・・・。
【私的 動く指 名言】
p49
単調な声がひびいたとたんに、魔法はすっかり解けてしまった。
もはや彼女は、身なりのいい健康な容貌の女性でしかなくなった。
(中略)
女性は口を固く結んでいさえすれば男のもっとも奥深い魂をあやしく掻き乱すことができるということ、しかしいったん声を出すと、その魔法がたちまちあとかたもなく消えてしまうということは、なんとふしぎなことだろう。
しかし、その逆の場合も起こり得ることを私は知っていた。私はだれも二度と振り返ってみないだろうと思われるほど無器量な、猿みたいな顔をしているような女に会ったことがあるのだが、しかしそれから彼女がまたしゃべり出すと、魔力が俄然よみがえって、クレオパトラがまた目の前に現れたような錯覚を感じたことがあった。
―ジェリー・バートン
p120
どんなことにも、初めがあるものさ
―ジェリー・バートン
p165
(あなたはなぜ結婚なさらないんですの)
「要するに、一度も適当な女性と巡り合わなかったせいでしょうな
―ジェリー・バートン
p243
あなたな匿名の筆者の心理をよくわかっていらっしゃらないようですが、要するに八つ当たりなんですよ。恨みがあるとすれば、それはいわば人間に対するものなのです
―ナッシュ
p295
「ばれないように人殺しをするこつは、手品のこつとよく似てるのですよ」
「すばやい手さばきで、人の目をごまかす点がですか」
「それだけじゃありません。正しくないものを、正しくない場所で人々に見せる必要があること―いわば、いかさまな誘導がその秘訣なんです」
―ジェーン・マープル&ジェリー・バートン
p326
憎しみは長つづきしないものさ、愛はいつまでもつづくけど
―ジェリー・バートン
p327
きみがいおうというまいと、ぼくは希望を持ちつづけるつもりだから
p387
ええ、危険は危険でしたよ。しかし、友人たちが無実の罪を着せられて殺されようとしているときに、危険だからといって手をこまねいて見てるようなやつは、人間じゃあありませんよ。おわかりでしょ
―ジェーン・マープル