岡山人待望のハイボール -小島屋(堀切菖蒲園) | 丁稚烏龍帳

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today,detch stood live on the earth,too…

                                      1月29日(金)

 花の金曜日、会社に向かう道すがら今夜はちょっと足を延ばして酒場巡りを…と思っていた矢先に、午前中の会議で宿題が(T-T)。悪いことはできないものですね。

 ひぃこら言いながら残業に取り組んでいると、珍しい人からのメールが舞い込みます。千住の在で、この夏に岡山に転勤になったへいちゃんからでした。「東京出張が早く終わったので、今から宇ち入ります」…ですとぉ。ああ、うらやましい…思わず飲みたい気分に拍車がかかってしまいます。

 現況をお伝えすると、帰りがけに一献できたらと思いメールしてくれたとのこと、思いには思いで応えるのが、人の道でしょう~、単に飲みたいだけですが(苦笑)。とはいえ一応仕事に目処がついたところで、連絡を取ってみるとまだモアナでやっているとのこと、それは追いかけるでしょう~。

 駅までダッシュしましたが、やたらホームに人がいるんですよね。そして、定刻を過ぎても電車が来る気配なし…もしかしたらあれですか?と思って待っていると、来るはずの特急ではない普通列車がやってきました。乗り込むと、案の定「立石~四ツ木間で人身事故」の車内放送…あらら、重なるものですねぇ。それにしても、ホームにアナウンス一つないとは、ちょっと考えものですね、K成電鉄様。


丁稚飲酒帳-元祖ハイボールの店  結局、30分遅れで進行、特急は来る見こみもないので普通列車でどんぶらこと向かいます。電車が遅れていることをお詫びがてら、当初きよしに行こうと思っていたことを伝えましたら、「葛飾の黄色いボールが飲みたいです」とのご希望があり、集合場所が堀切菖蒲園に変更になりました。

 たどり着いたのは九時少し前、改札の向こうに懐かしい笑顔が待っています。久しぶりの挨拶と遅刻をわびるのもそこそこに、駅を右手に出て目的のお店を目指します。葛飾のボールが飲みたいというご要望であれば、やはり目指すのは元祖ハイボールのお店のこちらでしょう。小島屋さんです。

 なにせ九時までの営業、まだすべり込みできるかしらと思いながら路地を覗きこむと、まだ暖簾が下りています。運ぶ足取りが加速するのも仕方のないことでしょう。引き戸を開けると娘さんが、「あと30分位ですが、よろしいですか?」と尋ねてくれますが、もちろん30分一本勝負でもボールを味わうには十分です、「はいぃ!」と元気良くお返事してお邪魔します。


丁稚飲酒帳-ジグザグかうんたー  入り口手前にはご夫妻が飲んでいらっしゃるから、m字カウンターの内側部分に掛けるとしますか。ん…、前のご夫妻が目を見開いているけど、あたし、なんか付いてる?と、へいちゃんも「ああっ!」と一言。え、あたしだけ置いていかれてる感じ?「なんでここにいるのよ」とご夫妻。どうやらへいちゃんのお友達のようですね。ならばとご夫妻のお隣に移って飲ませていただきましょう。店内の全景を楽しむには端のカウンターの方が眺めやすいものね。

 お話をお聞きすると、へいちゃんの北千住の石井や竜馬での飲み仲間、堀切菖蒲園在住のk坂夫妻だそうで、初めましての乾杯を琥珀色のボールで交わします。いやいや、へいちゃんの仕事がたまたま早く終わって、僕の仕事が長引いて、さらには電車が遅れたが故のこの出会い、奇跡的な確率ですねぇ。だって、お誘いがなければもっと遠くに行ってたでしょうし、当初は酒酒かモアナかなんて話をしてたのが、電車の遅れで菖蒲園に移って…

 三人が楽しそうに酌み交わしているのを見ると、こっちも嬉しくなってしまいます。


丁稚飲酒帳-キック抜群元祖ハイ  それにしても小島屋さんの元祖ハイ、やっぱり美味しいですね。グラスの底からボコボコと炭酸の泡が湧き上がり、見た目にもキックの強さがうかがいしれます。一口いただくと、ほんのりした甘さと独特の香りが主張しすぎずに鼻腔を通り抜けていきます。この爽やかな感じ、夏場に飲んだら最高だろうなぁ。

 へいちゃんがしみじみと、「岡山にはないんですよね、これが」。あちらは日本酒文化なのか、いわゆるボールと僕らが呼んでいるドライな酎ハイがあまりないのだそうです。僕も関西に行った時は甘い酎ハイに苦戦しましたけど、やはり甘すぎるか、逆に酸味が強すぎるものが多いそうで。それに、有馬温泉とか温泉サイダーとかは別にして、地の炭酸がこちらほどメーカーがないのかもしれませんね。湧き上がる泡を目を細めて眺めています。

 

 さてさて、壁にかけられた短冊とホワイトボードの中から、まずは玉葱玉子をお願いしましょう。いわゆる玉ネギの玉子とじ、ニラ玉ならぬタマ玉ですな。ほんのり塩気が効いて、玉ねぎの甘味を引き立てて乙な味わいですね。

丁稚飲酒帳-秀一玉たま  もう一品、新じゃが煮を…とお願いすると、残念ながら品切れ。もう店間際ですものね、k坂さんの空になった小丼を指をくわえて眺めます(^^;。最後の一品は煮込みをお願いしますかね、あ、ボールもおかわりください。最初に炭酸を入れて、そこに細身のやかんから、並々と素入りの焼酎を注ぐ小島屋スタイル。手際よく二杯目のボールを届けてくれます。

 その間にもk坂さん達とお互いの馴れ初めを話し合ったり、僕とへいちゃん、初めては木場の河本でしたね。へいちゃんがH本さんと三人で河本に並んでいた所に、あたしが後からやってきて、一人客だからと先に入れてもらったんだっけかな。そしたら店内にはK口さんが飲んでらして、そのまんま五人でだるまに行きましたねぇ。K坂さんとへいちゃんとは石井さんがお初だそうで、その頃に比べると飲み方が落ち着いたそうですよ…いかん、全然落ち着いてないぞ、おいら(^^;。


 お待ちどうさまと届けられた煮込みは、白味噌仕立てでシロと豆腐がよく煮込まれて、ネギがぱらりと。標準型の煮込みですが、それがまたこの王道酒場と良く会うのだなぁ。やや強めの塩気も端麗ボールとの相性ぴったりです。


丁稚飲酒帳-自家製ウコン  すると奥でニャンコと遊んでいたおかみさんが、いつの間にか僕らの前に。瓶の中から取り出した粉は、ウコンですか。四人みんなで手を出して、いただきますと…苦いけど、嫌な苦味じゃないなぁ。背筋が伸びるというか、思い込みでしょうけど、なんだか身体を綺麗にしてくれそうな気がしますよ。K坂さん曰く、自家製のウコン粉だそうです。この手のウコンサワーなら飲んでみたいわ~。

 さてさて、閉店間際の駆け込みでしたし、先に飲まれていたK坂さんはもう七杯目ですからね、お勘定をして一緒に出るとしましょう。四杯二品で、1800円のお会計でした。久しぶりに足を運んだ小島屋さんは、変わらずの重厚カウンターでありながら、家族的な暖かいもてなしと美味しいボールに気の効いたあての数々、こりゃまたお邪魔しなくっちゃ。今度はニャンコがよく見える奥のカウンターで、あわよくば一緒に遊んでやるぞと、密やかな楽しみを胸に、今夜もご馳走様でした。さて、K坂さん、もう一軒いっちゃいますか…(笑)?


小島屋 17:00~21:30 日・祝休