『「日本のサラリーンは仕事に追われ、余暇を楽しむゆとりがない―」というのは神話の一つである。

(しかし)今のサラリーマンはややオーバーに言えば毎晩のように飲んでは歌っている。祭りと余暇の日常化である。

それに比べると、大型連休の過ごし方には、やはり問題を感じる。

(中略)あまりにも企業文化にどっぷり漬かり過ぎていて、家庭文化には頭が回らない。
道路とか施設といった物理的な要因は大きいが、家庭へのマインドも希薄ではないだろうか。

どう過ごそうとも、(ゴールデンウィークを)家族の絆を深める為の機会にしたいものだ。

好きな時期にバカンスを取れるようにするとか、期間を長くすることも必要である。
同時に、もっと個人それぞれが内面を充実させ、身近な花鳥風月にも心を動かせるようになりたいものだ。

失われた日本の伝統を求めて』

※毎日新聞 社説 '91頃
酒井 康著 『永久追放』より引用