あれから、毎日あの七人と、時々舞達も巻き込みながら放課後過ごしていた。


俺が基本的に遅くまで教室に残ってて、あいつらも残ってるからそのタイミングで絡まれる。


チャリのカギを取られたり、普通の会話から発展したり。


あいつと絡む口実のためでもあったかもしれない。


あの七人と過ごすのも楽しかった。男子はサバサバしてて俺には合ってる。


ある日、俺が眼鏡を貸せといわれたので貸したところ。


いつもの教室散乱劇。


やっぱり男の力にゃ敵わん。


つか視力がクソ悪いので何にも見えん。


「おい、ガチで俺何にも見えんから返せよ」


そこで達哉。


「はいはい、かけたるから」


どっから出してきたんだよその眼鏡。俺のじゃねぇか。


さっきまで暴れてたのによく壊れてねぇな。


「じっとしてー」


おい、待て。ほんとにかけんな。


つか耳かかってねぇ。つか顔が近い。


なんかドキドキするって。眼鏡掛けられてるだけでドキドキするって。


この後も色々バトる。


あいつスキンシップ多すぎな!!


腕と骨盤の間に俺の頭挟んで頭かちわろうとしやがった。何?自殺志願者?


「ミシッって言ったよミシってぇええええやめろ死ぬうぅう」


「死ねっ」


達哉の匂いがする。密着してる。


気分とは裏腹に、更に荒い口調。


ほんっと、素直になれない奴だな、俺は。

帰りの学活が終わり、次の日の時間割を写していた。


中学校って先生の机ってあるじゃんか、あれに座ってさ。


―ガコンッ


身体に衝撃が走る。


一応地に足はつけた。


後ろを見る。


…達哉が気付かれちゃった☆みたいな顔して立ってやがる。


「ちょ、お前何すんねんっ、殺す気かっ!」


「ごめん、大丈夫か机!!」


「殴るぞ?」


こんなやりとりが久しぶりすぎる。


胸の奥から、温かいものが溢れる。


…やっと、元に戻った…


ほっとした感情。


と共に、放課後の恒例行事が始まる。


男子6人の集団リンチ。


この日は7人。


集団リンチっつってもじゃれあいの蹴りあい殴りあい。


いつも一緒に帰ってる舞も、一旦様子を見に来て、


「今日は帰らんとあかんねん、ごめんなぁっ!」とニヤリと笑って帰っていく。


「マテマテマテ、俺助けてから帰れーっ!!」と俺の断末魔の叫びを背に。


馬鹿野郎、気なんか使いやがって。俺はリアルに死に掛けてんだっての。


この日は、ほんとに楽しかった。


体の痛み?気にならんよ。でも俺はドMでもねぇぞ?


今でも、この日に帰りたいぐらい、俺は素直に喜びを感じていた。

やべぇ。やべぇ。やべぇ。


告った時よりも好きになってる。


あいつがニコって笑った時、俺にじゃねぇって分かってんだけどさ、


どっかの少女マンガみてぇに時間が止まったみたいに、


心臓が止まったみたいになるんだよ。


止まった分を補うためにまた心臓が早く動いて。


俺はこんなに乙女ちゃんじゃねぇっつの。似合わねぇっつの。


馬鹿か。


体育の時間も目が言う事聞かん。


結局俺は目が悪くて見えんから眼鏡を持って出たぐらいだ。


視界から離れるとどんだけ不安になんだよ。


土日とか来なくていいのに。


ずっとずっと、眺めるだけでも、させてくれたらいいのに。


…あれ、卒業までもう4ヶ月か。