グルテンフリーの米粉ラーメン商品化 経験者が開発

伊藤繭莉

 「小麦アレルギーで麺類が食べられない」「高血圧や慢性腎臓病で塩分制限がある」。そんな食卓の悩みを解消しようと、病気に苦しむ家族を持つ当事者が、米粉を使ったラーメンを開発した。塩分は2グラム以下。従来製品にない、しっかりとした食感と麺離れのよさが特徴だ。

 開発したのは、八十八研究所(東京都新宿区)。千葉県八千代市で米粉の料理教室を開く。代表の駿河かおりさん(51)は2014年から、グルテン不耐症を発症し、小麦を食べられなくなった。自身の経験を生かし、グルテンフリー米粉教室を開いてきた。

 18年には、深刻な腎不全を患った夫に腎臓移植を経験。1日4グラム以下の厳格な塩分制限のある夫と、食べ盛りの子どもの食事を別々に用意しなければならず、食卓の悩みが尽きなかったという。

 同じような悩みを持つ人たちの食卓に笑顔を届けたいと、これまで遠ざかっていたラーメンを米粉で作りたいと思った。しかし、従来の米粉の麺では、ゆでると麺同士がくっついたり、食感が軟らかすぎたり。1年半かけて、「減塩グルテンフリー米粉ラーメン」の開発に取り組んだ。原料の米は、地元八千代産のこしひかり。麺の塩分はほぼゼロで、スープも2グラム以下。家族が一緒に食べられるラーメンを実現した。

 味は、しょうゆとみそ、豚を使わない豚骨風の3種類。イスラム教の戒律に沿った処理をしたことを示す「ハラール認証」を受けており、豚を食べられない人も豚骨味が食べられる。

 駿河さんは「食事制限がつらくて悲しいことではなく、病気があってもなくても食べられ、作ることも簡単な米粉ラーメンで、少しでも笑顔が戻ってきてくれたら」と話した。

 3月から、同社のHP(https://88kenkyujyo.official.ec/別ウインドウで開きます)から購入できる。1食280円~300円の見込み。2月7日には、八千代市八千代台南1丁目の「喫茶Rio」で米粉ラーメンの試食会が開かれる(予約制)。2月29日までクラウドファンディング(CF)サイト「CAMPFIRE」でCFも実施している。