15年前の昔、地域BBSで書いていた未来話です。
いまの時代におきかえてみてくださいね。


 「そう、そこで空港税を払う。あ、現地の金でね。もってない?

 VISAカードコーナーある?見えた?そこでツーパースン分ね。

 なに・・・?ディレイド8時間。北京じゃめずらしくない。

 トランプで機嫌をとりなさい」

 「そのホテルは電気暗いから注意。北京はどこもそうだから我慢するように。

 え?部屋変えたい。英語通じないって?ウォシアンホワンだ・・」


 ひっきりなしにイリジウム携帯(衛星通信)からアドバイスが聞こえる。

 恋人アドバイスサービスを使えば、なんでも相談にのってくれる会社があるのです。

 このカップルの週末デートコースは北京郊外の十三陵。ものすごい人出。ほとんど日本人。団塊オヤジとラブラブ・カップルだけ・・・


 コンピュータによるお見合いシステムというと、有名メーカーが何社かあります。

 よく広告をみかけました。今回の作り話は次の段階の話です。

 出会いはしたもの、次のステップでどうするのか、そのコンサルタントをする会社を作ったとします。


 団塊世代の頃はまあ、のどかなものでした。

 オヤジギャグひとつで笑い転げて、時間が過ぎたものです。


 今の時代は、男も女もなんでも知りすぎて(知ったかぶり?)、

 もちろんオヤジギャグは御法度で、ちょっとデートするにもえらい苦労するようです。

 楽しいデート日程を考え出すのも大変。予定外のハプニングなどはなおさらかっこ悪い。

 ということで、「よけいなお世話会社」が登場しました。イリジウム・ラブ・アドバイス社。


 最近はみな一斉に茶髪になったりルーズソックスになり、個性を主張することのないブランド指向の人たちが多く、行動も型にはまり、マニュアル化されてきました。そうしたタイプにはこの会社は便利です。随時、衛星電話で質問を受け付け、回答をアドバイスするのです。

 北京はもちろん、渋滞の車の中、スノーボードのリフトの中、レストランやベッドのアノ最中でも、完璧なマニュアル・サービスを提供してくれます。そのアドバイスが最新流行の通りだったので、すっかり依存してしまい、彼も彼女もまあまあ満足だったのです。


 コンピュータお見合の段階で、お互いに趣味・容姿・学歴・身長体重収入家族血液型みな了解しあっています。たぶん出世コースも「ホリエモン風の想定内」。聞くことなど何もありません。

 極端な話、二人お互いに向かい合ったまま3時間も4時間もマンガを読み続けてもOKで、むしろ感性の交換を行ったら話の仕方もわからず、気まずい結果になるのかもしれません。


 こうなると、暗黙の了解といわれている安全路線レールを走りだすもので、そのレールに見合ったアイテムが自動的に決まるのです。デート車はどんな車種がいいか、レストランはどこでメニューはこうだとか、服はああだこうだ海外旅行はここと平均的に定まったおきまりのパターンが確定するのです。この需要がイリジウム・ラブ・アドバイス社の存続理由でした。経営は簡単。日本語を特訓した中国人やインド人が多数いたのです。


 いずれこの会社のおかげで、ツアーコンダクターは不要になり、一見世慣れたシティボーイとお嬢様が出来上がります。ラブ・アドバイスは若い二人の虚栄心を満足させました。このこともあり、どの国でも日本人は遠くからすぐわかりました。みんな似た服装や髪型、行動だったからです。中でも目立ったのは一定時間ごとに携帯を一斉に取り出しメールを読み、一斉に電話を切り、一斉に彼女にアドバイスする姿でした。


 その姿はいまも電車でもよく見かける光景ですが、当時はさらに極端で、デートなのに一斉に下をむく姿は、奇妙を通り越して悲しい感じがしました。


 とてもこんなの嫌ですか・・・


 そうですか。

 では、もっと自分に自信をもちましょう。

ちょっとカッコ悪いですが、それで自分らしさが素直に演出できれば、たとえ流行遅れの服でもオヤジギャグでも中古軽自動車でも、彼と彼女はほんとうは幸せだと思います。