気が付けば四月ももう後半。一ヶ月で世界の状況はこんなにも変わるんだ。
今月の仕事はすべてなくなり、来月、再来月のカレンダーも企画の中止・延期を記す斜め線の入ったマスばかり。
これがビンゴだったらなぁ。
名古屋の教室へ行っていた頃を懐かしく思い出す。
外出も、お客さんも、舞台もない最近は、お茶の時間がメインになり始めている。「うちカフェ」をして盛り上がっているのはもちろん弟子の二人。10時のおやつは柿の種が主流だが、午後のメニューは日替わりで手作りのおやつが前日から計画されている。
とは言え、ちゃんとおやつの合間に道具作りや、狩猟、山菜取り、畑仕事などもしてますよ。
その中でも今月一番のテーマとなっているのは「削る」事。
まずは獅子頭作り。「ここは残すか、削るか・・・うーん・・・」と悩みながら、毎日少しずつ いらない部分を削り落とし、獅子の表情を造る。白い粉に全身覆われながら「完成したら舞台で使える様になるのが楽しみだね」なんて想像を膨らませていた。
しかしその作業が終わり、獅子頭に紙を貼る段階に入った頃、いよいよ「本当にしばらく仕事がなさそうだ」という事に気付いた。
そして私たちは、他の色々なものを削り始めた。
ネットショッピングで失敗した腕時計。
データを毎月使い切っていない携帯のプラン。
あると便利だけど なくても生活できるサービスの契約。
本当に必要なものだけを残し、いらないものを売ったり、減らしたりして出費を削る。
舞台を中心に活動しているしている私達は、今となれば仕事がしたくても出来ない。
だけど不思議な事に「物づくり」が生活の中にある地力塾では相変わらずやる事が沢山。それが野菜や音楽、道具や料理、家具、何であろうと「作る」と言う事はとにかく時間と頭とエネルギーを使うため、収入にはならなくても、仕事はある。そして満足と、やりがいも。
この先舞台の仕事がどう変わるかは分からないが、AIの導入やスーパーシティーの話を聞いていると、今後どうなるか分からないのはどの職種も同じなのかも知れない。
3DプリンターやAIで物が作られ、料理も機械から出てきて、人間の仕事は全て削られた、そんなエスエフな世界を想像してると、私はなるべく自分の手を使って「物づくり」を続けたいと思った。
人は何かを作る時に、生きがいや目的を感じるのかな。
そんなことを考えながら明日のおやつを作り始める。
これも今月の食費を削るため・・・