「満智子!!!やっと見つけた!!」

突然後ろから声をかけられた。あたしは目線を空から声がしたほうへ移した。

 そこにいたのは一人の女の子。あたしより少し背が高くて、綺麗な格好をした子。彼女は糯原百合恵(もちはらゆりえ)。あたしの学生友達の一人だ。彼女はあたしがそちらのほうを見たことに気がつくと、急ぎ足であたしのところに駆けつけてきた。

「もうどこ行ってたの?探したんだから・・・」

「ごめん。携帯に連絡すればよかったのに・・・」

「私はそんなものには頼りたくありません!」

彼女はこう見えて携帯電話が嫌いらしく、この世の中では珍しい人種。携帯持ってない族の一人なのだ。

「買えばいいのに・・・それより、どうしたの?」

「今日暇?」

「暇・・?」

あたしはすぐに自分の頭の中にある予定表を開く、確か今日は・・・そうだアルバイトが五時から九時まである。残念ながら暇ではないな。あたしはそのことをユリに話した。そうそうあたしは彼女のことをユリと呼んでいる。

「ごめん。今日は夕方からアルバイトが入ってるの」

「嘘っ!休む事とかできないの?」

「たぶん無理だと思う。そういうの厳しくて・・・」

「残念だな・・・せっかく合コンに誘おうと思ったのに・・・」

「ごめんね。また次の機会に誘ってよ」

「うんわかった」

そう言ってユリはその場を去って行った。合コンか・・・彼女はどうして合コンが好きなのだろう?去年は確か三十回以上入っているはずだ。どうやらまだお目当てにかなった彼氏が現れないようだ。しかし彼女の願望ランクを少しでも下げないと念願の彼氏などいつになってもできないのに・・・そんなことを本人の前では言えないが・・・それにあたしは合コンというものが好きじゃない。何か表と裏の姿を見てしまいそうだから・・・もし暇があったとしてあたしは断ってるのだろうね・・・


 あたしは右手につけた腕時計を見る。時刻は午後三時を迎えようとしていた。あたしが受けている授業は終了した。このままベンチで過ごすのも癪だし、町まで行くとしようか・・・あたしはそう考え、ベンチから立ち上がった。