エゾリイノシシ。アルスム大陸全域に生息するイノシシ。その凶暴性から恐れられているが、そのぶん動くため、身が引き締まっていて、美味との話だ。
ショーはイノシシの突撃を横に避けたが、イノシシは体をうまく使ってカーブし、再びショーに突撃を行う。
ショーは悲鳴をあげながら右手に持つナイフを振るが、掴んでいなかったのか、汗で滑りやすかったのか・・・ナイフは後ろに飛んでいき、地面に突き刺さる。
「あっ・・・あぁ!」
ショーは後ろに飛んだナイフを呆然と眺めるが、イノシシは目の前まで迫っていた。
ショーはまた悲鳴をあげながらイノシシの突撃を避けるが、先程と同じ様にイノシシはカーブし、ショーに迫る。
「こっ・・・こうなったら・・・」
ショーはそう言うと右手の人差し指をたたせる。すると指先から薄赤い光が輝き出した。それはまるで蝋燭の火だった。その状態で風を切るように指を振る。すると光の残像を残しながら、そこに真っ赤な線が現れる。いやそれは線ではない。何故ならその線から熱が生じ、湯気が出ていたのだ。そして左手の指を使って指を鳴らす。
パチン、
すると先程現れた熱を持った線は命を得たように動き出す。動く行為、例えば走るという行為は最初加速ゼロの状態からどんどん速度をつけて速くなる。多少風邪の抵抗などもあるが物理の世界ではそうなっている。しかしこれは違った。線は物凄い速さで突っ込んだのだ。初加速度がマッハの状態といえよう。そうこの線、この現象、この力こそがショーの力。魔法なのだ。