「そっ・・・薗田先生・・・」
そうそれは先程正門で出会ったトーマスだった。
「かっ・・・河瀬、何で学校に・・・保護者と帰ったはず・・・」
「それより先生はこんな時間に電気も付けないで何をしてるの?」
「それはだな・・・忘れ物を・・・あっ」
トーマスは近くにあったコードに足を引っかけ、バランスを崩す。しかし何とか堪えて、転けることにはならなかったが・・・
「あっ!?」
麻里亞の驚く声を聞いて、トーマスはすぐに手を頭にのせる。そこには本来ある物がなかった・・・それはトーマスの下に落ちていた。
「先生・・・まさか・・・」
そうトーマスの頭はピカピカに輝くツルッパゲだったのだ。
「言うなっ!言わないでくれ!」
トーマスは落ちていたカツラを掴み、すぐに頭にのせると、その勢いで麻里亞に近づく。
「えっ・・・その・・・」
麻里亞は衝撃がいえないのか、それともどう対応したらいいのか分からずただ呆然としていた。
それからトーマスがこのようなことをしていたのかを説明した。二学期が始まった頃にトーマスのお気に入りであるカツラが無くなってしまった。
無くなった場所が職員室だったことから他の先生に聞くことも出来ない。そこで夜誰もいなくなったところを見計らって探そうとしたのだが、教室などに生徒が残っていたのだ。
もし職員室に入ってきたら・・・トーマスは考えた。思い浮かんだのが録音したテープを流して、残っている生徒を脅かして帰らせるという方法だった。これがうまくいき今日まで探していたわけだが・・・
「なぁ河瀬、これは・・・頼み、いや依頼なんだが・・・」
「依頼ですか?」
「あぁ・・・俺のカツラは何処に行ったか分かるか?」
「うーん・・・ちょっと待ってください・・・」
麻里亞はそう言うと、後ろを向き、ポケットの中にいた俺を捕まえ、耳元によせた。
麻里亞は俺なら答えに気付いていると思ったのだろう・・・まぁこれだけ探しても見つからないのなら、答えは一つしかないだろ。俺はその答えを麻里亞に伝え、麻里亞はその伝えたことをトーマスに告げた。
「多分・・・誰かがゴミと間違えて捨てたのでは・・・」
「ゴミ・・・ということはゴミ置き場か!」
トーマスはそう叫ぶとその足でゴミ置き場に向かった。俺と麻里亞はその様子をただ呆然と見ているしかなかった。こうしてカラ子さん騒動は幕を閉じた。