中はコテージのような作りになっており、見た目には宿屋のような感じだった。ショーは近くにあった受付に行くと、巨大な酒樽を運んでいた女性がショーに気づき、近づいてきた。
「いらっしゃい」
「あ・・・ここは・・・」
「この平野の休憩所(ヤード)。お前さん一人かい?」
「はい、旅をしてまして・・・」
「旅人(レンジャー)ね」
旅人(レンジャー)とはこのアルスム大陸を旅する者の通称である。休憩所(ヤード)はそんな旅人や商人達の安息の地として提供している施設である。
「しかし見かけない格好をした旅人だね」
「あぁ、確かに・・・」
このガーリル平野は時間帯によって寒くなる地域である。ショーは寒さ防止のためにアカデミーの帽子かぶり、マントをつけていたのだ。
「その格好・・・セイフィールアカデミーの・・・」
「はいっ、よくご存知で?」
「一度か二度、見たことがあってね・・・と言うことはおまえさん魔法が使えるのかい?」
「まぁ・・・一応・・・」
「魔法が使える旅人(ヤード)・・・おまえさん、もしや全知の書(パーフェクトバイブル)を探してるのかい?」
「えぇ・・・おかしいですか?」
「おかしくないよ。あたしはそういったあるか無いのか分からない物を探す奴は好きだよ」
その言葉を聞いてショーは少し驚いた。大抵の人間はショーが旅する理由を聞くと笑うか、大爆笑するかの二つだからだ。
「あっ・・・あの・・・」
「うんっ、どうしたんだい?」
「ありがとうございます・・・」
「あたしは何かしたかね・・・まぁありがたいけどね。でっ、あんたは何の用で?」
「あっ・・・」
「休憩かい、それとも泊まるかい?あたしは泊まる方を勧めるけどね」
確かに窓に映る景色は暗くなっているようだ
「じゃあ・・・泊まりで」
「はいよ、飯は七時になったら向こうのテーブルにあるから」
そう言うと女将は部屋の鍵をカウンター席に置いた。ショーは鍵を取り、その足で部屋に移動した。部屋はベットと小さな机があるだけの部屋だった。ショーは机にリュックを置き、何かを取り出した。それは魔導書だった。
「まぁ暇潰しにはなるかな・・・」
ショーは小さな声で呟くと、魔導書を開き、夕飯の時間までゆっくりと読んでいた。