俺の家はちょっと汚い一軒家だ。何でも親父がそういった古い建物に住むのが夢だったらしく、この物件を見つけた時は偉く喜んでいたとオフクロは言う。
オフクロは昔どこぞの劇場の看板女優だったらしく、見に来た親父に一目惚れし現在に至るそうだ。まぁ今の姿を見ると、看板女優は嘘ではないかと感じる。まぁそれはともかく、 俺は玄関の扉を開け、久し振りに、
「ただいま・・・」
の言葉を発した。オフクロは小さな声で、
「おかえり・・・」
と言った。どうやらオフクロは今晩の夕食を作っているようだ。俺は恐る恐る台所に入る。オフクロは包丁で野菜を切る音が静かに響いていた。ミシェルが言ったことを思い出す。
「・・・段取りが足りないのよ。ボクとしては・・・もうちょっと配慮するってことを学んでもらった方が・・・」
ちゃんと聞いていないので分からないが、確かこうだったはず。ともかく俺は今日の出来事をオフクロに謝った。
「オフクロ・・・映画の話をしなくて悪かった」
「・・・」
「それに弁当のことも悪いと思っている」
「・・・・・・」
「それでな・・・聞いてるのかオフクロ?」
「んっ・・・何か言ったか?」
オフクロは包丁の音を止め、振り返った。耳にはイヤホンを付けており、そこから音声が流れていた。
「んっ、何か言った?」
「いや・・・別に」
俺はそう言って台所を出た。クソッ、もう二度と謝るものか・・・
階段を上がり、向かいにある部屋が俺の領域、すなわち俺の部屋だ。俺は学校の鞄を適当に放り投げ、ベットに横になる。何か・・・どっと疲れが出た・・・まったく映画の役者はこりごりだな・・・
そもそも何故映画撮影なんかやっているのか?まぁ文化祭の出し物・・・自分がやる出し物をやる系だ・・・でミシェルが何か思い出を作る為に映画撮影を提案し、俺やチョンと言ったメンバーが集まり、実行にうつったわけだ。 しかしミシェルはこの映画撮影にかなりの拘りがあるのか、機材や撮影場所、脚本まで全て揃えてきたのだ。ミシェルは何でそこまでして映画を撮りたいのか・・・今思えば不思議だ。
しかし今回の一件(オフクロの暴走)で何人かは止めるだろうな。はぁ・・・明日はそいつらに誤り通すのは疲れそうだ。まぁ悪いのは俺だから仕方がない。
俺は夕飯が出来るまでの間、何かをしようとしたが、何もするきになれず、疲れを癒すために目をつむり、眠りにつこうとした。んっ・・・そう言えば何か忘れているような・・・気のせいか・・・いや何か忘れてる。きっと・・・
1,「きっと、忘れものだ」
2,「明日考えればいいことか・・・」