それから俺達は徹底的に江坂を調べ尽くした。ハンズを初め、商業ビル、公園、各店舗・・・しかしケントのママの姿は無く、目撃情報も一切なかった。
「いませんね・・・」
「うん・・・」
「・・・」
俺達はケントが待っていた場所に座り込み、考え込んでいた。
「マウスさん・・・」
小羽は俺の方を見る―ちなみに俺は小羽の手提げ鞄のポケットにいる―。その顔は何かの名案を望む顔だった。しかし名案は全て出し尽くしていた。そしてあの考えが濃厚する。捨てていったという考えが・・・
「小羽・・・今から言うことはケントに言うなよ・・・」
「えっ・・・でも・・・」
「いいか、ケントは捨てられた可能性が・・・」
「あっ、ママだ!!」
ケントの叫び声で話は中断された。俺はケントが見ている方向を見る。そこにいたのは三人の女性グループ。化粧、格好からしてまだ遊び足りない年頃だろう。
「あの中にケント君のママさんがいるのですね?」
「うん、ママ!!」
ケントは大声で叫ぶ。しかし誰一人、ケントの叫び声で聞いていない様子だった。
「ママ!ママ!!」
ケントは何度も叫ぶが、誰も気づかない。
「何の反応もないな・・・」
「ママッ!?」
痺れをきらしたケントは立ち上がり、女性グループに近付いて行った。
「ちょっと待てケント!」
俺は叫んだが、ケントの耳には入らなかったようだ。
「小羽、ケントを捕まえろ」
「捕まえるのですね。小羽知ってますよ。落とし穴に落として捕獲玉を・・・」
「そんなことより追いかけろ!?」
「うぅ~、どならなくても~きゅう・・・」
小羽はそう言うと立ち上がり、ケントの後を追う。しかし小羽の走りは遅く、近付いた時にはケントは女性グループの一人に声をかけていた。