あの後二人に泳いでくるように言うと、麻里亞と血糊は再び海に向かっていった。俺は楽しんでる二人の様子を眺めながらチャプチャプと浮いていた。麻里亞が小さなバケツに海水をくんできて、そこに俺が入っているわけだ。横には2リットルのペットボトルが入っているが、あんまり気にしなかった。さて・・・迷惑をかけないように泳ぎの練習でもするか・・・そう考えた俺はバケツの縁に手を置き、ばた足の練習をしていると、一羽の鳥が俺達のパラソル近くに着地した。鳥はこの海では珍しい鳩だった。鳩は俺の姿を確認すると、喋りかけてきた。
「お前・・・俺の言葉が分かるのか?」
「あぁ・・・一応動物の言葉は大体・・・」
「こいつはビックリだ。まさか噂が本当だとは・・・」
「噂?」
「全ての生き物の言葉が分かるネズミがいるって噂だ」
「植物の言葉は分からないがな・・・」
俺はそんな噂がひろがっているのに驚いている。ひろまった原因は血糊や麻里亞と会う前にやっていた相談室だろう。
「なぁなぁこんな話を聞いたことはないか?」
そう言うと鳩は様々な噂を俺に聞かせた。恐いものから不思議なものまでそれは様々だった。
「ふーん、不思議だな」
「だろっ。いやー久々に喋った気がするぜ」
「そうそう。この近くでうまい飯屋とか分かるか?」
「飯屋・・・んっー、いろいろあるからな。だけどこの近くにある店はやめた方がいい」
「それは何故?」
「俺達の仲間を食うからだ」
なるほどな・・・その言葉に納得してしまう。今回はこいつのためにその店に行くのはよしておこう。
「それじゃあ俺はこの辺で・・・」
鳩はそう言うと翼を広げ、飛行機の離陸のように空高くに舞い上がった。と同時に血糊と麻里亞が近くのショップで何かを買ってきたのか、それを持ってやって来た。
「マウス、お昼にしよう」
時計を見ると確かに昼の時間だった。
「えっとね・・・海に来たならやっぱり焼きそばでしょ、カレーでしょ、かき氷でしよ、おでんたまごつきだよね」
「だからそれだけ買ってきたのか?」
「うん」
麻里亞の言葉に俺は唖然とする。ブルーシートに置かれた品々がさらに強調させる。
「海の家はいろいろあるんですね。お酒やわんこそばというものまで置いてましたよ」
「へぇ・・・」
俺はそう言いながらこの買ってきた物を本当に処理できるのか不安になったが、二人は海で遊んだせいか、食事を開始して数分で買ってきた物は全て無くなった。いやはや・・・すごいというか何というか・・・
「これからどうします。もう少し海で遊びますか?」
「んっ・・・せっかく須磨に来たんだし須磨水族館に行かない?」
「水族館ですか?」
確かにこの近くに須磨水族館がある。もちろん断ることなど出来ず、俺達は荷物を片付け、須磨水族館に向かった。