「どうします河瀬さん?」
「決まってるじゃない。泳ぎに行きましょう」
「分かりました」
「でもその前に・・・まずは準備運動から」
「準備運動ですか?」
「そう、体を動かす時はまず手頃な運動をしないといけないんだよ」
「そうなんですか・・・じゃあテレビにいるスポーツ選手のみなさんは準備運動を・・・」
「そう、それほと準備運動は大切なんだよ」
麻里亞はそう言うと何かの曲を鼻唄で歌うと、そのまま背筋を伸ばす動作をした。しかし血糊はその動作と鼻唄にただ呆然としている。
「んっ、血糊君、何でしないの!?」
「えっ・・・今のが準備運動?」
「そうラジオ体操第二番・・・一番だったか分からないけど、日本伝統の準備運動の一つだよ」
「日本伝統の・・・」
まぁあながち間違ってはいないが、ところどころおかしい点は・・・あえて指摘しないでおこう。そもそもラジオ体操は・・・えっ、説明より話を続けろって・・・それは失礼した。そんなこんなで麻里亞の鼻歌によるラジオ体操が始まった。麻里亞が背を伸ばす動作をすると、血糊もそれにならって同じ動作をする。麻里亞が足を伸ばすと血糊も同じ動作をする。その様子を見ていてとても面白かったが、麻里亞が俺に気づき、言う。
「マウスも!」
「えっ・・・俺もか?」
最初はやるつもりはなかったが、後々が怖そうだったので、仕方なく血糊の後ろに隠れて準備体操をする。麻里亞がする動作を血糊がまね、それを俺がまねるという奇妙な光景。当然観光客が俺達に気付く。まぁほとんどの目線が麻里亞の美貌なのは言うまでもなく・・・俺はそいつらに鋭い目で睨んだが、見ている方は俺の存在に全く気付いていないので、効果はなかったがな・・・
「深呼吸ーー」
そう言うと麻里亞は深呼吸の動作をする。血糊も俺も同じように深呼吸の動作をし、終了したのを確認すると、
「はい準備体操おしまい!」
麻里亞は元気よく叫んだ。