ふぅ…終わりましたよ」
血糊は郷田の方に向いてそう言ったが、郷田はただ呆然とするしか出来なかった。血糊の強さは異常だ。毎回血糊の戦う姿を見て思う。その強さはどこからわいてくるのだろう…俺には分からなかった。血糊という名前…それは俺がつけた名前だ。本当の名前は分からない。そう血糊は記憶がないのだ。何処で産まれ、何をしていたのか全て…思えば血糊、麻里亞の出会いも不思議だった。今でもはっきりと覚えている。大雨の日、血塗れで倒れている血糊。涙を流しながら助けを呼ぶ麻里亞。そしてそれを使われていない机の上で呆然と眺める俺…全てはっきりと…
「マウスさん、どうしたんですか?」
「えっ…」
突然の血糊の呼びかけで俺は現代に引き戻される。
「これからどうします?」
「そっ…そうだな…ヤクザの仲間がいるかもしれない。すぐに立ち去ろう」
「分かりました。郷田さん…ここは危険です早く逃げましょう」
「あっ…あぁ…」
郷田はそう言うと同時に再び声が倉庫内に響いた。
「警察だ!手を…」
それは警察の声だった。しかし今の現状を見て警察は呆然とする。無理もない。五人のヤクザが倒れているのだから…
「おい警察じゃないか?」
「そのようですね…」
「どうするんだよ。逃げ道はあそこしかないぞ?」
「と言われましても…」
血糊は考える仕種をしながら俺の方を見る。だが俺も思いつかなかった。逃げ道は一つ。しかしその逃げ道は塞がれている。どうしたものか…そう考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「奥の方を見てくる」
その声は俺達の方にどんどんと近づいて行く。そして俺達の前に現れた。刑事は血糊の顔を確認すると、そのまま仲間の刑事達に伝える。
「誰もいないぞ!!」
そう言って刑事は戻って行った。
「なっ…何だ今の刑事は?」
「知り合いです」
血糊はそう答え、俺は郷田に見つからないように胸ポケットに戻った。しかし最近は胸ポケットから出たら災難に合ってる気がするが…気のせいだろうか?