オプションには売りオプション(プット)と買いオプション(コール)がある。
それぞれのオプションのどちらにも売り手と買い手があり、全部で四種類の人の思惑が交差する。
事実の立方体を4人が4面から眺めていることになるわけだ。
何やて?
わからへんやて?
大丈夫! すぐわかるようになる。
一、 コールオプション
まずは買いオプションの買い手から。
ここで、もう一度飴の製造販売会社社長のA氏にご登場願おう。
A氏は南西諸島でサトウキビの栽培面積が激減しているとニュースで聞き愕然とする。
「まずいっ!」
「飴の原料である砂糖の生産量が落ちて、値段が上がるかもしれない。」
砂糖の現在価格は1kg当たり150円!
三ヵ月後に10トンの仕入れを予定している。
「それまでに、1kg200円を超えれば赤字や!」
ここでA氏はリスクヘッジをするために、買いオプションの買い手となる。
砂糖と同じ値動きをする租糖を三ヵ月後に10トン、現在の価格で買うことが出来る権利を買うのである。
ここがミソ。
10トンの租糖を買うわけではない。
10トンの租糖を現在の価格で買うことが出来る権利であって、決して義務ではないのだ。
この権利を買う料金がオプション料である。
租糖の現在の料金を1kg140円と仮定すると総額140万円になるから、オプション料は約定代金の5%で計算すると、大体7万円ぐらいだろう。
こうして、A氏は7万円の保険料という感覚で、原料値上げのリスクヘッジを行う。
不幸な予想が的中し、実際に砂糖が値上がりすれば権利を行使すればよい。
当初に約束した安い価格で租糖を10トン買い、その時の価格で転売すれば本業での損失を補填できるだろう。
この際、オプション料の7万を上乗せした147万を超えて値が上がっていれば、リスクヘッジのメリットを享受できたことになる。。
反対に、当初の予想が取り越し苦労となり、砂糖の値段が下がれば何もいうことはない。
その時は、買う権利を放棄すれば良いだけである。 損失はオプション料の7万円のみとなる。
さて、次はオプションの売り手である。 この人は最初からマネーゲームが目的である。
名前を仮にX氏とする。
X氏は租糖を三ヵ月後に10トン、現在の価格で買うことが出来る権利を売る。
権利を行使するかどうかは相手次第である。 いや、相場次第である。
この場合、X氏はオプション料の7万円だけを、買う権利を売った料金として受け取る。
しかし、租糖の値段が上がった場合、損失は無限大となる。
X氏が何故、売り手になったかといえば、租糖の値段が上がるとは思っていないからだ。
たとえ上がるとしても、短期間に147万円を超えてまで値上がりはしないだろうと予測したからだ。
147万を超えて値上がりが続けば、X氏が無限大の損をすることは自明の理である。
次回ではプットオプションの買い手と売り手について述べる。