私はひたすらまっすぐな道を焦りながら歩いていた
最初は走っていたけれど
今の私にはずっと走り続けることなんてできなかった
早くしないと消えてしまう・・・
私は前方高くに輝く星に向かっていた
さっきまで真っ暗だった空は地平線から徐々に明るくなって
朝ぼらけの風が淡くかすんだ空気を運んできていた
星が一つ、また一つと私にさよならを言って消えていく
それでもその星だけはまだしっかりと空にまたたいていた
でもいつまでも輝いてはいないでしょう
私が星に問いかけるけど
星はまだまだ遠くにあってただただ黙って笑っていた
太陽はまぶしすぎる私が
やっとみつけた理想の星
待って…まだ消えちゃだめ…
そんな私の声も空しく星の輝きは朝の光に飲み込まれようとしていた
私を置いていかないで…
せっかく見つけたのに…
こんなに追いかけているのに…
私は消える前にたどり着きたいと
それだけを考えながら残った力を振り絞りまた走り出した
だめ…私から見えるところにいて…お願い…
そんな私に優しく笑いかけながら、ついに星は消えてしまい
空がまぶしい青に染まっていく
あぁ…もうだめだ…
私は膝から崩れ落ちた
星は私を待ってはくれなかったんだ
疲れ果てた私は泣くこともできず
ただただ目に映る地面を受け入れられずにいた
どれくらい時間が経ったか
ふと私の視界を小さな白いものが横切ったのに気づいた
花びら?
私はそれを無意識に目で追った
え?
そこには一面に咲く花たちが一斉に風に揺れていた
そして私に手招きをしているようだった
まるで、ここにおいでといわんばかりに
私はおそるおそる近づいた
それでも花たちはやさしく微笑んでただただそこにいた
ふいにほのかな香りが私の鼻を迎えに来た
あ…これは…
なんて言葉にしてよいのかわからない
でもなんだか不思議な感覚が私をそっと包み込む
ここにいて…いいの?
花たちは変わらず微笑んでいた
気づけば私の目から涙がこぼれ落ちていた
ありがとう…
星を追って夢中で走ったところにいた
このなぜかわからないけど不思議な安心感…
花たちもずっと永遠にここにいるわけではない
でも
…今は、ここでそっと眠らせて…
20260608