「今日、にしない」
夫からのお誘い
その日、息子が出かけるからって、
そんなときは、たまには、いいよね
どうする どこに行く
「ふだん、行かないとこにしない」
夫からの提案で、
ずいぶん前に一度だけ行ったに行くことにした。
そうそう、ここだよね~、
高校生だった息子が、
で、並んでカウンターに座り、
あぁ~、あの時は、あのテーブルに座ったんだよね~、
あの時は、何食べたっけ
母ひとりで、なんだか、しみじみ
屋さんだし、 が隣りにいるし、
こんなとこで涙なんか流してられない
でも、正直、ヤバかったの
お会計の時、
あぁ~、あの時は、息子が支払って、
お店の人もニコニコしてたんだよねぇしみじみ
数年後、まさか、こんな感情になるとは、
あの時は、想像もしなかったね、母 うんうん
社会人1年生の息子、
早々に、初お給料をいただいたそうです
本当に、ありがたいことです
「ごちそうするから、何が食べたい」
おお~
「でいいよ~」
まだ少ないお給料を心配してか、
父がそう言うと、
「それはイヤだよ、食べたいもの言ってよ」
だよね~、母もはイヤだわぁ
「そうだよ、
職場で、両親に何をごちそうしたのって聞かれて、
って答える身にもなってよね」
・・・そっちか
そんな流れで、
のお店に決定
おいしかった~
・・・だったんだけど、
席に案内されて、メニューを渡され、
「あとでご注文に伺います」と言われたけど、
オーダーが決まっても、誰も来てくれなかった。
なぜか、そこの席だけピンポンボタンもなくてさ。
周りを見ると、お客さんが帰った後の食器が、
片付けられていないテーブルがいくつかあった。
人手不足なんだな~、
そう思いながらも、
まだオーダー取りに来てくれないな?
誰かいないかな?
母は、席の後ろをキョロキョロ
すると、
「やめてよ、はずかしいっ」
息子に叱られる。
黙って待ってられないのか?
そういうことらしい。
いやぁ、でもぉ、誰も来ないしぃ、
このくらい、おばちゃんは平気なんだけどぉ
「あのさ、
おんなじ席に座ってる身にもなってよ」
・・・はい、すみません
母、その後は、
背筋を伸ばして、お行儀よく、
おとなしく待っていた。
そんなこんなでも、
息子、
ほんとうにごちそうさま~
「初任給で、両親にごちそうする息子、
絵面的に、完璧でしょ」
うん、完璧だ
・・・こんな息子、
誰に似たんだろう
こうやって、思い出って作られていくんだなぁ。
母、絶対に、数年後、
しみじみするんだろうなぁ。
ね、母 うんうん