うなぎの寝床のように間口が狭く奥に長い実家の敷地には、その地続きに雑木林があった。

両隣５軒ほどの敷地も同様の形態をしており、それらの家の雑木林を含めてまとまった「緑地」を形成している。

子どもの頃、母屋から木小屋の前を抜け、雑木林に一歩足を踏み入れると、コナラ、クヌギ、シラカシ、杉、孟宗竹などの雑木が生い茂り、そこには鬱蒼とした「別世界」があった。

農家にとっては、そのような雑木林は様々な恵みをもたらしてくれたので、ありがたいものだった。

例えば、間伐材や枯れ木は、風呂やかまどの燃料にする。

落葉は、堆肥にする。

なので、冬場はいつも「薪割り」や「落葉かき」が待っていた。

時には、椎茸や山栗などの収穫もできた。

大木の根元には、「穴蔵」が掘られていた。

さつまいもやジャガイモなどの農産物の保存庫である。

雑木林の入口付近には、「防空壕」の名残さえあった。

私たち子どもにとっては、格好の遊び場でもあった。

笹や細枝で秘密基地を造ったり、高木の枝にロープを縛りつけ、「忍者ごっこ」や「ターザンごっこ」をしてよく遊んだものだった。

そんな雑木林も、今では、その役目も無くなり、ただの「お荷物」になっていたが、管理だけはしないわけにはいかない。

幸い、定年した兄が一人で下草を刈ったり間伐したりしながら綺麗に管理していたので、昔と違ってむしろ明るくなっていた。

この先、どうなるのだろうか。

落葉した木々の隙間からのぞく青空を見あげていたら、そんな一抹の不安を感じ、その場に立ちすくんだ。

さて、今日の曲は、ブリンドルの「Under The Rainbow」

アルバムは、『BRYNDLE』（1995年）である。

ブリンドルは、カーラ・ボノフ、ケニー・エドワーズ、アンドリュー・ゴールド、ウェンディ・ウォルドマンで結成したグループ。

1969年頃に結成し、シングル1曲発売されただけであった。

アルバムは、1枚レコーディングしたが発売は見送られ、その後、それぞれ個々の活動をするようになり解散。

解散したとはいえ、それぞれの活動に対しての協力は惜しまず、固い友情で結ばれていたとのことである。

そんな4人が20年以上の時を経て再結成し、リリースしたアルバムは、テンポの良いポップ・ロックからしっとりしたバラードまで、爽やかで美しいハーモニーを聴かせる素晴らしい楽曲が揃っている。

紹介の「Under The Rainbow」は、カーラ・ボノフがソロをとっているが、曲ごとにそれぞれのメンバーがソロを担当、その他のメンバーがコーラスに回るという手法で構成されている。

雑木林の行方／BRINDLE