1.帯をキュッとね!
単行本全30巻の高校柔道漫画。
柔道が今よりマイナーな頃に描かれた作品。柔道素人の筆者が、『少し柔道に詳しくなった』1冊。
それはハウツー本という意味ではなく、仲間やライバルたちとしのぎを削る中でのストーリーを楽しませつつ、副産物的に起こる現状で、河合先生の真骨頂かもしれない。
名シーンは数え切れないが、巨漢の橘に斎藤が技で挑む一戦は今でも胸が熱くなる。
2.モンキーターン
小柄な野球少年の波多野憲二が、競艇選手の道を歩む物語。今でこそ、CMが増えたり女子レーサーが注目されたりしているが、連載当時はまだまだギャンブルの男むさい印象を筆者は持っていた。
漫画のリアルタイムでは、選手のヘルメットが無地のものからデザインOKになるなど、変わりゆく競艇界をリアルに描いている。
河合先生も後に語っているが、主人公が競艇という世界の中で、多くの人に出会い成長していく姿はこの漫画の柱だろう。
ちなみに筆者のおすすめは、やはり師匠小池とのエピソード。
シュールな笑いと、競艇のリアルな情報、描写はさすがの一言。読んだからきっと、競艇場に行きたくなります。
3.とめはねっ!鈴里高校書道部
武道、モータースポーツと描いてきた河合先生が次に選んだのが『書道』この漫画は、女の子が主人公だが、ダブル主人公のような存在の男の子は、これまでの作品の主人公と異なり、性格もビジュアルもパッとしないところからスタートする。
河合先生お得意の、読者が題材を理解するペースと、物語の進むペースのリンク感がたまらない。
『母』の字をめぐるエピソードや、かな、前衛といった難しいテーマも上手く盛り込み読み手に訴える力もある。
学校の書道部の先生や、町の書家の先生など豊かなキャラクターもストーリーを盛り上げてくれる。