期日は午後からだったが、午前中に弁護士さんから電話があった。
嫌な予感がした。
電話に出ると、37.5度の熱が出てしまったという。
そのため、裁判所に連絡をして、今日は取りやめにするか、リモートでの対応にするか、決めると言われた。
リモートといっても、各自バラバラの場所で行うのではなく、私が弁護士さんの法律事務所に出向いて弁護士さんと同席する形になるという。
なぜそのようなやり方にするのか(なぜ熱がある人と同席するのか)よくわからなかったが、とりあえず連絡を待つことになった。
しばらくして、弁護士さんから電話があり、リモートでの対応になったと言われた。
弁護士さんの法律事務所へ向かうことになった。
昼になり、法律事務所へ向かおうと家を出た直後、また電話があった。
熱が38度に上がってしまったという。
そのため、法律事務所へ来ないでくださいと。
私が一人で裁判所へ向かって対応し、弁護士さんは電話で参加する形にするか、今日は取りやめて別日にするか、選択を迫られた。
また別日に会社を休まなければならなくなるので、熱が出ている中申し訳ないと思ったが、決行させてもらうことにした。
裁判所に向かった。
裁判所の入口数メートル前で、夫の車とニアミスした。
早めに行けばよかったと後悔した。
初っ端から最悪な気分になった。
裁判所のエントランスに入ると、夫の弁護士がいて、すれ違った。
私に気づいたかどうかわからない。
夫を迎えに行ったのだろう、ゆらーっと外に向かっていった。
また最悪な気分になった。
このまま受付に行ったら、また夫らと鉢合わせしてしまうと思ったので、いったん、相手方待合室に入ってしばらく待とうと考えた。
が、何故か夫と弁護士が相手方待合室に入ってきて、結局鉢合わせしてしまった。
弁護士は私をはっきりと見た。
私は席を立って申立人待合室に向かった。
その時夫が私を見たかどうかわからないが、私が去った後に弁護士は私がいたことを話しただろう。
それにしても、何故相手方待合室に来たのか、意味が分からない。
私は夫に訴えられたのだから、私の方が「相手方」であるのに。
さらに最悪な気分になった。
気持ちを落ち着けてから受付に行こうとしていたら、書記官らしき人が私の方に来て、名前を確認された。
夫と顔を合わせないようにしてくれるとのことだった、すでに鉢合わせしてしまっていたわけだが・・・
夫とは顔を合わせないが、夫の弁護士とは同席しなければならないという。
同席で大丈夫かどうかを聞かれたので、大丈夫ですと言うしかなかった。
最初に、夫側の話を聞いていき、次にこちら側の話を聞く流れになる。
テレビでよく見るような法廷のイメージが頭にあったが、実際は、調停とほぼ変わらなかった。
別の階の部屋で30分以上待った後、調停室よりは広い部屋に案内された。
部屋の名前は、裁判官〇〇と書いてあったような気がしたが、じっくり見ることもできないくらい、精神的余裕がなかった。
夫の弁護士と裁判官が、テーブルに座っていた。
調停の時は女性の裁判官だったが、今回は男性の裁判官だった。
離婚そのものについて、合意できるか?
最初に聞かれたのはそれだった。
途中で夫の弁護士が退席した。
夫の会社の株式を50株貰ったならば、経営に関わることになるが、それは大丈夫か?
余計なことを言ったらまずいのではないかと思い、ほとんど「はい」としか答えられなかった。
財産分与はいくらだったら合意できるかと聞かれた。
具体的な金額を言っていいのかよくわからなかったので、電話の向こうの弁護士さんを頼った。
結果具体的な金額を言うのでよかったらしく、300万という数字が出された。
それよりも少ない金額ではどうか?と聞かれたが、向こうの提示金額によると回答した。
財産分与金額について、夫側に確認するということになり、1回目の聞き取りが終わった。
待機していた部屋に戻った後、また30分以上待った。
2回目の聞き取りは、早かった。
300万では合意できないと。
裁判官の方が幅を持たせた金額ではどうか?と聞いてくれたそうだが、それも合意できないと。
私の力不足ですみませんというようなことを言われた。
びた一文払わないという夫の意思がありありと感じられた。
結審でいいですね?と確認が入り、それに合意し、裁判が終結した。
終わってしまった。
300万を取ることは難しそうだということが分かった。
おそらく、控訴することになるだろう。
ここまでやった意味はあったのか?
それを考え始めてしまったらどうしようもない。
判決を待つしかない。
翌日、弁護士さんからコロナ陽性でしたと連絡が来た。
そうでしょうね。