夫に自分の通帳を預けていて、夫が家計を管理していた。
自分の給料も、ボーナスも、夫に管理されていた。
ふだんの自分の買い物はどうしていたかというと、夫のクレジットカードの家族カードで、
スーパーやらドラッグストアやら、ネットショッピングに至るまで、ほぼすべてそれで支払っていた。
現金は数万円置いてあり、現金払いが必要な時はそこから使った。
現金がなくなったと言えば、都度補充された。
数万円する物を買うときは、事前に相談するルールだった。
正直、楽だった。
信頼していたので、うまくやってくれていて、貯金もしてくれているだろうと楽観的に思っていた。
実際のところは、貯金はゼロだった。
それを聞いて、夫への信頼はなくなった。
結婚して最初のころは、ネットで服を買ったり、アマゾンで何を買ったかなどを、チェックされたり咎められたりした。
高いものは買っていないと言うと、何も言われなくなった。
でもそれは、夫が勝手に我慢していただけらしいということがわかった。
言い合いをするうち、「お前が毎月どれくらい金を使っているかカード明細を出して見せてやる」と言われた。
は?と思った。
責められるようなものは買ってない。
それより、お前が毎月飲み代にいくら使ってるか見せろっつーのな。
このコロナ禍でも、緊急事態宣言下でも、深夜まで呑んでるあほんだらが。
人付き合いのためとか言い訳できるわけがないんだよ。
コロナ前だったとて、それについは、今まで一言も文句言ったことないだろう?
それが何でこっちが責め立てられないといけないのか。
取り戻した通帳を見たら、7万程度しか残っていなかった。
自分のボーナスですら、私に使う権限はなかった。
そのことに気づいたとき、愕然とした。
言い合いの直後、家族カードを深夜0時に止められたようだった。
カードをiPhoneのウォレットに登録していたのが、「使用できません」とアプリ通知が来ていたのでわかった。
翌日、まったくもって仕事に集中できなかった。
夫の顔を見るどころか、同じ空間にいることすら苦痛に感じ、もう限界だと思った。
その夜に荷物をスーツケースに詰めて家出した。