私は毎週ある「不思議の国」に行きます。

そこには、ご期待通りスペードの女王がおられます。映画に出てきた「赤の女王」というよりは、黒っぽいスペードの女王でしょうか。


「白の女王」も在らせられます。控えめで上品な方です。

「不思議の国」では、集う人たちが皆幸せになる事が目的とされてるはずですが、見回す限りあまり幸せそうな方は居られません。


見えない規則にがんじがらめになってる可哀相な人々の集団に見えます。


人に対しては優しく柔和であらねばなりませぬ。

王や女王を敬わなくてはなりませぬ。


むやみに争ってはいけませぬ。

国の規則は守らなくてはいけませぬ。等々


この間、小さな可哀相なネズミさんに出会ってしまいました。


このネズミさんは、「不思議の国」の老人達のためにお食事を用意しなくてはなりませんでした。


でもネズミさんは、以前の失敗経験を引きずっていました。

今度こそ失敗しないようにと、ネズミさんは必死でした。


前日から、必死に下準備をし、当日も早くから執りかかりました。

でもネズミさんは必死過ぎたんです。


思いつく限りの材料を買い込んで、総てを使おうとしたのです。

でもそうすると時間がとてもかかってしまう事に、ネズミさんは気付きませんでした。


そしてとうとう時間になってしまいました。

なんとお茶の準備もできていません。


スペードの女王の雷が落ちます。「時間には用意してって言ったでしょう!!」

老女達も、非難顔で、すごい勢いでお茶碗を引っ張り出していきます。


とても老人会の人たちとは思えない元気良さです。

そしてすったもんだの末、食卓に着きます。


スペードの女王は、少し気まずいのか取り繕うような言葉を少し並べます。

そして、食事が終わると、用があるからとそそくさに出て行ってしまいました。


爺様、婆様たちもいつの間にか、皆居なくなっていました。

逃げ足も速いようです。


ネズミさんは、それでもホッとした様子でニコニコ笑っていました。

あんな酷い言葉や態度をとられたのに平気なのか?私には不思議でした。


                    おしまい