こないだ本棚を整理して居て、増えすぎた本を泣く泣く処分した。
そこで、ちょっと思い出した事があったので、ここに記す事にする。
前勤めて居た土建会社の社長は、結構いい歳なのだが一向枯れる気配が無く、
バブルの生き残りみたい人だった。
「良い時計と、良い車、良い服を着て居れば、自然といい女がついて回る」
が口癖なんだけど、
上の口調から感じられる余裕とかが一切感じられない位、(女性との)新しい出会いを求めて日々夜の町を渡る、愛の狩人だった。
社長は俺を出かける時の口実によく使って居て、
奥さんに電話口で「鳥篭の野郎が一本仕事上げて来たから、打ち上げに呑みに連れてく」とか言っては(一人で)夜の町に出かける。
俺は友達にせよ好きな女の子にせよ沢山は要らない人で、
本当に好きな人が一人居れば良いと思って居るし、
奥さんにも日々可愛がって貰って居たので、こう云う事の片棒を担がされるのは御免だった。
ただ、
別に全然渋くも格好良くも無いギラギラしたオジサマなのに、
頑張って女の子の居る店に飲みに行くバイタリティにだけは感心して居た。
現場では邪魔なだけなのに。
全く、よく飲み屋に行く人で、
俺は夕飯代わりに一人で一杯引っかける事が多く、気に入った店が何件かあったのだが、
いつも気が付けば奴が居た。
俺がちまちま開拓した焼き鳥屋にも、気軽に入れる割烹にも、イタリアンにも中華にも、
キチンとしたバーテンの居るバーにも、果ては〆に入れて帰るラーメン屋にも。
焼き鳥に七味かけたいな、なんて思ってると横から七味がスッと出てくる。
あ、こりゃどうも、なんつってそっち見ると社長だったり。
静かなバーのカウンターの隅で一人ボウモアを飲んで居ると、
ボックスで女の子といちゃいちゃしてた人から何故かフローズンダイキリを奢られ、
「ヘミングウェイじゃ無ぇっつうの」と思って断ろうとしたら社長だったり。
兎に角、
そんなに狭い町じゃ無いのに行く先々に現れてイヤに成ったもんだ。
ある日、
社長の息子の件で相談があったので時間を取って貰った。
この人にはこの世で一番駄目なんじゃ無いかってレベルの馬鹿息子が居て、
そいつを俺は現場で「面倒見てやってくれ」と押しつけられ、毎日苦労させられて居た。
俺も馬鹿で苦労したから、一つずつ仕事を覚えさせる為にちょっとした事から任せてやらせようとして居た。
「その為、若工期に余裕を見て欲しい」と伝えたいだけだったのだが、社長は迷わずお姐さんの居る店に直行して、
俺が、その馬鹿息子に任せたい仕事の話をしてるのに、呑気に女の子口説いて居やがる。
しかも、黙って聞いてたら奥さん居無いとか言ってるし、人に任せっきりのセガレが可愛くて仕方ないとか言ってる。
「なんつうの?カミサン居無いから淋しい思いさせてる訳よ??
だから、息子との時間ってのは大切な訳よ?わかる?
一番大切なのは、家族のさ、なんつうの?思い出??」
とか、馬鹿っぽい半疑問系のしゃべりで、口説き目的の気持ち悪い自分語り。
うそばっかりつきやがって、とか思いながら杯を重ね、気が付いたらべろんべろんに酔っぱらって居た。
俺に付いてくれて居たお姐さんが飲み過ぎと判断したらしく、
気分転換に歌でも歌ったら?と言って来た。
社長も、横でずっと自分がつく嘘を聞かれてるのがイヤみたいで、
「そうだ、歌え」との事。
俺は、飲み屋でカラオケ程要らない物は無いと思って居るのだが、
ここで意固地に成るのも空気読めない人みたいでイヤだったので歌う事にした。
チラと見ると、社長は絶賛口説き中だ。
「親なんて、全く報われないけどサ、なんつうの?
ガキ共の笑顔??あれの一つ一つがサ、思い出っつうの?報われるっつうの?…」なんつって。
この辺で、俺が入れたカラオケのオーダーが通って、前奏が流れ出す。(動画を再生して下さい)
(制止画ですので、聞きながら読んで下さい)
"俺は地獄のテロリスト
昨日は母さん☆したぜ
明日は父さん☆ってやる
I am a terrorist straight out of hell
俺には父さん母さんいねえ
それは俺が殺したから
俺にゃ友達恋人いねえ
それは俺が殺したから
殺せ殺せ親など殺せ
殺せ殺せすべてを殺せ
サツガイ サツガイせよ
サツガイ サツガイせよ
(KILL! KILL! KILL! KILL!)
思い出を血に染めてやれ…"
ただその頃覚えたばかりだったから歌ってみただけだったのだ。
全く含む所は無かったのだが、
ことごとく、さっきまでの社長の口説き文句に対応して否定して居るような詩で、
歌いながら、「コレはちょっと」と思った。
でも、
俺に付いてた娘も社長に付いてた娘も、ずっと社長の口説き文句がキモかったみたいで、
げらげら笑いながらメロイックサインを高く掲げ、髪を振り乱してヘッドバンキングして居る。
〃(゚д゚`;)〃
(。_。`;)〃
U_U_)
ウケてる?
そう思ったら、もう止まらなかった。
俺も弁髪にして居た髪を解いて、ヘッドバンキングしながらフルコーラス歌いきった。
気持ちよかった。
社長は、怒って帰って仕舞ったけど。
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前勤めて居た土建会社の社長は、結構いい歳なのだが一向枯れる気配が無く、
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「良い時計と、良い車、良い服を着て居れば、自然といい女がついて回る」
が口癖なんだけど、
上の口調から感じられる余裕とかが一切感じられない位、(女性との)新しい出会いを求めて日々夜の町を渡る、愛の狩人だった。
社長は俺を出かける時の口実によく使って居て、
奥さんに電話口で「鳥篭の野郎が一本仕事上げて来たから、打ち上げに呑みに連れてく」とか言っては(一人で)夜の町に出かける。
俺は友達にせよ好きな女の子にせよ沢山は要らない人で、
本当に好きな人が一人居れば良いと思って居るし、
奥さんにも日々可愛がって貰って居たので、こう云う事の片棒を担がされるのは御免だった。
ただ、
別に全然渋くも格好良くも無いギラギラしたオジサマなのに、
頑張って女の子の居る店に飲みに行くバイタリティにだけは感心して居た。
現場では邪魔なだけなのに。
全く、よく飲み屋に行く人で、
俺は夕飯代わりに一人で一杯引っかける事が多く、気に入った店が何件かあったのだが、
いつも気が付けば奴が居た。
俺がちまちま開拓した焼き鳥屋にも、気軽に入れる割烹にも、イタリアンにも中華にも、
キチンとしたバーテンの居るバーにも、果ては〆に入れて帰るラーメン屋にも。
焼き鳥に七味かけたいな、なんて思ってると横から七味がスッと出てくる。
あ、こりゃどうも、なんつってそっち見ると社長だったり。
静かなバーのカウンターの隅で一人ボウモアを飲んで居ると、
ボックスで女の子といちゃいちゃしてた人から何故かフローズンダイキリを奢られ、
「ヘミングウェイじゃ無ぇっつうの」と思って断ろうとしたら社長だったり。
兎に角、
そんなに狭い町じゃ無いのに行く先々に現れてイヤに成ったもんだ。
ある日、
社長の息子の件で相談があったので時間を取って貰った。
この人にはこの世で一番駄目なんじゃ無いかってレベルの馬鹿息子が居て、
そいつを俺は現場で「面倒見てやってくれ」と押しつけられ、毎日苦労させられて居た。
俺も馬鹿で苦労したから、一つずつ仕事を覚えさせる為にちょっとした事から任せてやらせようとして居た。
「その為、若工期に余裕を見て欲しい」と伝えたいだけだったのだが、社長は迷わずお姐さんの居る店に直行して、
俺が、その馬鹿息子に任せたい仕事の話をしてるのに、呑気に女の子口説いて居やがる。
しかも、黙って聞いてたら奥さん居無いとか言ってるし、人に任せっきりのセガレが可愛くて仕方ないとか言ってる。
「なんつうの?カミサン居無いから淋しい思いさせてる訳よ??
だから、息子との時間ってのは大切な訳よ?わかる?
一番大切なのは、家族のさ、なんつうの?思い出??」
とか、馬鹿っぽい半疑問系のしゃべりで、口説き目的の気持ち悪い自分語り。
うそばっかりつきやがって、とか思いながら杯を重ね、気が付いたらべろんべろんに酔っぱらって居た。
俺に付いてくれて居たお姐さんが飲み過ぎと判断したらしく、
気分転換に歌でも歌ったら?と言って来た。
社長も、横でずっと自分がつく嘘を聞かれてるのがイヤみたいで、
「そうだ、歌え」との事。
俺は、飲み屋でカラオケ程要らない物は無いと思って居るのだが、
ここで意固地に成るのも空気読めない人みたいでイヤだったので歌う事にした。
チラと見ると、社長は絶賛口説き中だ。
「親なんて、全く報われないけどサ、なんつうの?
ガキ共の笑顔??あれの一つ一つがサ、思い出っつうの?報われるっつうの?…」なんつって。
この辺で、俺が入れたカラオケのオーダーが通って、前奏が流れ出す。(動画を再生して下さい)
(制止画ですので、聞きながら読んで下さい)
"俺は地獄のテロリスト
昨日は母さん☆したぜ
明日は父さん☆ってやる
I am a terrorist straight out of hell
俺には父さん母さんいねえ
それは俺が殺したから
俺にゃ友達恋人いねえ
それは俺が殺したから
殺せ殺せ親など殺せ
殺せ殺せすべてを殺せ
サツガイ サツガイせよ
サツガイ サツガイせよ
(KILL! KILL! KILL! KILL!)
思い出を血に染めてやれ…"
ただその頃覚えたばかりだったから歌ってみただけだったのだ。
全く含む所は無かったのだが、
ことごとく、さっきまでの社長の口説き文句に対応して否定して居るような詩で、
歌いながら、「コレはちょっと」と思った。
でも、
俺に付いてた娘も社長に付いてた娘も、ずっと社長の口説き文句がキモかったみたいで、
げらげら笑いながらメロイックサインを高く掲げ、髪を振り乱してヘッドバンキングして居る。
〃(゚д゚`;)〃
(。_。`;)〃
U_U_)
ウケてる?
そう思ったら、もう止まらなかった。
俺も弁髪にして居た髪を解いて、ヘッドバンキングしながらフルコーラス歌いきった。
気持ちよかった。
社長は、怒って帰って仕舞ったけど。
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